Nobuyuki Takahashi’s blog

2008年 8月 10日のアーカイブ

妻有研修 空家視察

2008年 8月 10日

lotus light/浅井香名子

lotus light/浅井香名子

8月9日
朝8:00にホテルにて食事。米どころの妻有である。とにかくお米がおいしい。リーダー川島いわく、「ごはんをおかずにごはんが食べられる。」同感!
9:00に宿を出発し、二千年蓮がある弁天池を観に行く。蓮の花は大方散った後ではあったが、日に向かって手のひらをかざすように伸びている葉が美しい。心が透き通っていくような光景がひろがる。私は逆光で見た葉うらが気に入っている。バックライトのグリーンは説明がつかない美しさだ。愛機ハッセルブラッドのシャッターをきりまくる。
やさしい美術プロジェクトが制作する作品には現地の取材をヒントにしたものがある。前回のトリエンナーレで作品「lotus light」を制作した浅井を思い出す。浅井はこの弁天池の伝説的な蓮の花をテーマに蓮の花心から光る照明作品を院内のいたるところに展示した。
11:00見学を予定している空家に着く。まもなくしてアートフロントギャラリーの柳本さん、トリエンナーレ総合ディレクターの北川フラムさんが現地に到着。空家の鍵を開けてもらい、スタッフとリーダーたちは早速家の中を見て廻る。私と柳本さん、北川フラムさんは場所を移して今後の打ち合わせ。提案書を見せながらてきぱきと話し合う。要点が見えているのでものすごく早く打ち合わせが進む。北川フラムさんとの相談はいつも数分で終わる。私はこのさくさくした感じが好きだ。アートディレクターのアーティストへの強い信頼があってこそのスピード感。
空家に戻ってみると、スタッフとリーダーたちはすっかりくつろいでいる。この空家が気に入ったようだ。彼らの感じたことはやさしい美術プロジェクトwebサイトのフォーラム「ミーティングルーム」で公開するのでご一読を。
空家活用は現段階では計画中ということにとどめておきたい。詳細が決まって来た時にこのブログでも紹介するつもりだ。
その後、松代農舞台にて開催されている企画展を観に行く。私とリーダー補佐の竹中は春の田植えで自分たちが植えた稲の様子を観に行く。すっかり伸びた稲。葉の色調がグリーンからわずかにイエローオーカーに移行し始めている。私たちが田植えをお手伝いしたのは農舞台の正面にあるカバコフの作品がある棚田だ。カバコフの作品は棚田に立って体感するのではなく、農舞台側から眺めて鑑賞する作品だと感じた。
16:00松代を出発、名古屋へ。メンバーのミドルネームを命名するゲーム(これがかなりえぐい)やマニアックしりとり(本人の説明がない限りさっぱりわからない)で盛り上がりながら道中を楽しむ。
21:00春日井駅に到着。私としては皆笑顔で解散し、無事帰ってこられたことを感謝するのが理想だ。そのために私たちは日々健康管理と体力づくりに気を配らねばならない。自戒。

妻有研修 十日町病院へ

2008年 8月 10日

8月8日
前日のプレゼン大会のあと、十日町病院での活動形態やスケジュールを提案するための提案書、空家活用プログラムのコンテンツ案を作成する。どちらも気が抜けない。十日町病院の皆さんは私たちからの提案をとても楽しみにしている。翌日9日の空家の視察にはアートフロントギャラリーの柳本さんとトリエンナーレ総合ディレクターの北川フラムさんが同行することになっている。できる限り丁寧な提案書を作り、前にすすめておきたい。明け方まで準備に追われ、6:00就寝。7:00に起床し、集合場所の春日井駅へ。
今回の妻有研修旅行は私とスタッフ4名、リーダー3名の総勢8名でレンタカーに乗り込む。スタッフたちが交代で運転してくれる。ほんとに助かる。新潟県十日町までの道のりでできるだけ体を休める。
15:00に新潟県立十日町病院に到着。妻有も名古屋と同様晴れでとても暑い一日になりそうだ。まず、事務の井沢さんの案内で外来病棟、検査室、病棟などのすべての施設を視察する。2006年の前回トリエンナーレの後にこの病院では「ミナーレ」という病院職員によるアートボランティアが立ち上がり、独自の方法で病院内の環境に配慮している。私たちやさしい美術プロジェクトとのコラボレーションがきっかけになっているとのこと、私たちの活動が波紋のように広がっていくのを感じる。うれしい。院内すべてのカーテンがピンクに統一されていて、院内の光が暖色系に染まりあたたかい印象を受けた。
16:00十日町病院塚田院長、事務部長、看護師長らとプロジェクトとで研究会を開催する。院長からはトリエンナーレもさることながら、数年後予定されている新設の十日町病院の設計段階から関わってほしい、とお話がある。そう、この活動は5年10年という時間の流れの中で動き始めているのだ。私の方からこれからトリエンナーレにむけて進めていく協働プロジェクトの概要、空家活用を含めた活動形態、スケジュールを説明する。さらに病院内に病院職員による検討委員会を設置してもらうようお願いする予定だったが、配布された資料に目を移すと名簿らしきものが…なんと、すでに「やさしい美術プロジェクトチーム」が発足されている!これにはびっくり。今回の研究会ではお互いが受け身でなく、前向きな空気が充満していた。
18:00から十日町駅近くの「寿美恵」にて宴会。ここには前回のトリエンナーレでお世話になり、現在は松代病院の事務部長をつとめる早川さんも合流(当時早川さんは十日町病院の事務長補佐だった)。忙しい中駆け付けてくれて妻有の人々の情のあつさに心打たれる。学生もスタッフも心開き、病院の皆さんと打ち解けている。このひとときがこの上なく楽しい。「寿美恵」の料理は家庭料理が基本。煮物も揚げ物もすべておいしい。ひときわ目を引いたのは真っ赤なトマト。井沢さんの奥さんの実家で採れる無農薬の野菜だそうだ。「野菜はかたちがいびつな二級品の方が味がいい。」という話が印象に残る。私は歪んだ野菜のポートレートを写真に記録して病院に展示しようと思っている。ホテルしみず屋にて宿泊。

プレゼン大会

2008年 8月 10日

8月7日
毎年恒例 学内で「プレゼン大会」を開催する。やさしい美術プロジェクトのメンバーが集い、新たに考案した作品プランを披露する。メンバー同士のプランの確認が主な目的だが、今年度新しく入ってきたメンバーにとっては病院での本番のプレゼンテーションを前にしたリハーサルも兼ねている。また、専門が異なり、学年も異なる学生が参加し、お互いの視点で確認し、批評し合うので緊張感はかなりある。病院に提案する前に「他者」の視点にさらされるので、プランもさることながらプレゼンテーションのスキルもぐっとあがる。それぞれのプレゼンテーションは架空のものであってはならない。医療の現場ではまず実施可能であるかが問われるし、病院の人々のこころにきちんと届くものでなければならない。よって教員である私のコメントも自ずと厳しいものになる。
このプレゼン大会では卒業生であるスタッフも作品プランを提案したり、アドバイスをする。このことにより、実感のこもった体験談がところどころで話され、いまだ病院での経験値の少ない学生には貴重な手がかりとなる。スタッフは学生からみて年齢も近く、ライバルであり、もっとも手厳しい先輩となる。
作品プランにはいくつか新しい提案があった。実現までに越えなければならないハードルはたくさんあるが、今まで取組まれることのなかった場所や作品の展開に可能性を強く感じた。