Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 3月 11日のアーカイブ

小牧市民病院 活動報告会

2009年 3月 11日

3月10日 小牧市民病院8階大会議室で18:30〜活動報告会を行なう。昨年から始めたもので、参加対象は小牧市民病院職員だ。
この活動も2004年4月から数えて5年になる。500床を軽く越える大病院、顔を憶えてもらうのに時間がかかったが、今ではすれ違う職員さんたちとにっこりと笑顔で挨拶を交わすまでになった。病院にいる患者さんや地域住民の人々にこの活動を知ってもらいたいと、リーフレットをつくったり、持ち帰りできる絵はがきを積みおいたり、キャンペーンポスターを掲示してきたが、効果は思ったようにみられない。もっと活動の内容に踏み込んだ議論をして行くことで、次のアクションにつなげていこうと、昨年より病院内で活動報告会を開くことにしている。
今回の活動報告会では、いつにも増してアンケート調査の報告に力を入れた。院内各所に展示されている作品の傍らに設置したアンケートボックスで1年かけて収集し、240件ほど集めることができたので、それらの分析結果を病院職員に知らせたかった。特に自由記述部分は感性的評価が含まれていると考えられる。そこをひも解いて行けば、病院で取組むアート・デザインの取組みが病院にいる人々にとって、地域住民にとって、そして医療スタッフにとってどのように感じられているのかを思わぬ切り口で表すことができるかもしれない。また、「医療の現場にアートは必要か」といったお題目に答えるべく、その存在の根拠(エビデンス)を導き出すことができるかもしれない。
ともかく、それらの資料をまとめるのに時間がかかり、前日は夜中の1時すぎまで、10日当日は活動報告会直前までプレゼンテーションの準備に追われた。
活動報告会ではいくつか病院職員の皆さんから意見と指摘があがった。なかでも、ある看護師さんが「病院を訪問される人々に作品を見せて歩いています。とても楽しくて、すてきで、私は次生まれ変わるのなら、芸術家になって作品を作りたい。」とおっしゃっていたのが印象的だった。厳しい意見もある。「搬入日と時間を守ってほしい。」これは私ディレクターとしての力不足である。アーティスト、デザイナーをフィニッシュまできちんとマネージメントできているか、再確認が必要だ。うれしい激励の言葉もあった。小牧市議会で本取組みのことが話題にあがり「小牧周辺で好評をいただいているだけでなく、外部からも高い評価を受けている。」との発表があったそうだ。
アンケートの分析から、病院で取組まれるアート・デザインは概ね受け入れられているという結果はすでに得られている。むしろ次の局面にさしかかっていて、人の状態や場所などの属性によって、作品がどのように人々の感覚に響いて行くかを詳細につかんで行かなくてはならない。良い悪い、好き嫌いも大事だが、「よい」ならばよいで、より詳細なニュアンスを導き出して行くことで、もっと根源的なアート・デザインの潜在力を見つけることができるかもしれない。
寝れない日々が続くが、寝れないほど興味深い。