Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 3月 30日のアーカイブ

大島と「こえび隊」

2009年 3月 30日

30日6:30 いつものように自宅を出て名古屋駅に向かう。
きりっとした快晴。現地の天気はどうだろう。そう、大島に行くのだ。

べた凪の海 海が島を映す

べた凪の海 海が島を映す

11:10 予定通り官用船せいしょうに乗り込み大島へ。海はべた凪、紺碧の空と海。予想をはるかに超えて完璧な快晴である。
ビーチコーミング(浜辺で拾いものをすること)で、今日の子どもたちへのお土産を集めた後、職員食堂「セイブ」へ行く。今日は焼き魚と豚汁、肉じゃがの定食だ。肉じゃががめちゃくちゃうまいっ。
食後、島の中を少し散策してみる。桜の木がところどころ植わっているが、ようやく開花し始めた様子。のちほど自治会長さんにお聞きしたのだが、大島の桜の開花は遅いのだそうだ。時折吹く強く冷たい風のせいだろう。
青松園事務長室に行き、事務長森さんに会う。事務長森さんは明日31日で定年退職される。私は前回の訪問で始めて退職のことを聞いたので戸惑ったが、今日、こうしてお会いし、ごあいさつできて良かった。
前日に準備した今後の大島での取組みをまとめた企画書を事務長森さんにお渡しして、簡略に説明をした。幾人かの入所者の方々にインタビューをしたり、取材をして、やさしい美術プロジェクトができることを考えた。そして大島で取組む骨子となる3本の柱を立ててみた。
1.いきいきとした時間と空間を創る
2.外に向けて表現する 外とつながる
3.のこす 記録する
今日は特に入所者の皆さんに会う約束をしていなかったが、急遽入所者自治会長さんにお会いすることにした。2010年に開催される瀬戸内国際芸術祭は大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレのように分散した会場を巡るタイプのアートの祭典となる。妻有は山で瀬戸内は海。海を渡り、アートと島に出会う「旅」体験になるに違いない。妻有では「こへび隊」と呼ばれるボランティアスタッフが大活躍し、芸術祭を支えた。ここ瀬戸内では「こえび隊」が組織されるそうだ。意識のある地元の方たちが参加し、全国から可能性を抱いた若者たちが集まってくるだろう。
大島が瀬戸内国際芸術祭の会場として発表されたのは昨年11月のこと。こえび隊を組織するにも、大島を訪れたことのある人は圧倒的に少ない。そのためにも大島を理解し、大島のファンになってくれる人を着実につくっていかなければならない。将来的にこえび隊として活躍してくれるかもしれない人々に大島に触れる機会をつくる企画がもちあがっている。詳細が決まってきたら、このブログでも報告したい。
自治会長さんとこれからの活動について意見交換する。作品を制作して、持ってくるというのが、一般的にわかりやすいプロセスだが、やさしい美術はそればかりではない。そこをわかりやすく伝えるのが難しい。次回お会いする時にはもう少し工夫してお話ししようと思う。
私は大島に来ると、いつも心が洗われる。人とは何か。人が生きていく上で欠かせないものとは何か。社会とは何か。つながりとは。幸福とは…。それらを感じ、噛みしめて、それでも生きていく。人のたくましさ、もろさ、を心に刻む。自分と向き合える時間と出会える大島。
私は大島ファンになった。

手前に船小屋 山には一本の桜

手前に船小屋 山には一本の桜

温玉うどんと牛すじ そしてからし

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