Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 4月 28日のアーカイブ

大島 海を介して世界とつながる2

2009年 4月 28日

ブログを書こうとしていた日曜日。友人の鉄の彫刻家藤井健仁とインデペンデントキュレーター東谷隆司に呼び出され、明け方まで杯を交わす。一睡もせず月曜日。力尽きて今日更新することに…。お許しあれ。
さて、大島の旅の続きだ。

強風で見るも無惨な傘

強風で見るも無惨な傘

25日 7:30起床。6:30にはサイレン、7:00からは園内放送で今日の献立の朗読がつづく。雨が相当強く降る。例によって強風が小さな大島を通り過ぎる。その吹きすさぶ音は何度聞いても聞き慣れない。
朝食を済ませ、泉と防空壕跡に行ってみる。大島会館の北側に相当深い横穴が掘られている。入所者自治会副会長の野村さんによれば、終戦直前に1日一個のおにぎりで鑿と金槌を持って汗だくになって掘ったそうだ。もう1、2週間掘れば海岸にまで貫通していただろうとのこと。恐ろしくて一番奥まで行けない。暗闇で突き当たりが見ることができないのだ。また、大島の歴史の一旦を見た。
その後、東側の海岸線に出てみる。海を見て唖然とする。白い波頭が風によって踊らされている。海面は私たちの立つ地平よりも高く感じるほどだ。強風の中夢中でシャッターを切る。と、その瞬間脇に挟んだ傘がみごとに煽られてへし折れてしまう。
ずぶ濡れになりながら、図書室に向かう。昨日自治会長森さんにご案内いただいた場所である。私はこの静謐な空間がとても気に入った。泉と片っ端から蔵書を読みあさる。新聞を読みにきた入所者の男性が私たちに話しかけてくれる。書棚を眺めていて、印象に残ったのは毎月発行されている機関紙「青松」のすべての内容を朗読し、録音してある膨大なカセットテープだ。全盲の方が多いこの大島では大切な記録である。
12:00 いったん面会人宿泊所に戻り、昨日のうちに買っておいたカップラーメンを二人ですする。強風ですっかり冷えてしまった身体をあたためる。
13:00 雨が少し小降りになり、カメラを背負って島内を歩き回る。各宗教施設は施錠されていないと聞き、手を合わせながら、順番に廻る。キリスト教霊交会の教会、天理教、浄土真宗、金光教などなど。長く使われていない様子の施設もいくつかある。そのひとつひとつを丁寧に訪ねて写真に記録する。次回訪れた際は宗教の世話人を担当している入所者の皆さんにお話を伺いたいと思った。

高松までの船にて(撮影:泉)

高松までの船にて(撮影:泉)

16:00 いつものように桟橋に向かうと官用船まつかぜが停泊中。だが、一向に出航する気配がない。どうも、時刻表が変更になったらしい。
16:30 大島を出航。
16:50 高松に着く。高松に降り立つとつんと街の香りが鼻につく。黴と排気ガスが入り交じった湿った空気だ。同じ地平上で海をわたって来たはずなのに、何故か「降りてきた」という感覚。
17:30 行きつけのお店でうどんを食す。今日はぶっかけ肉うどん。うーん男らしい。今回は残念ながらデジカメの電池切れにて、画像なし。次回のうどん日記をお楽しみに。
18:40 高松発のマリンライナーに乗って一路名古屋へ。世界とつながる、つながっていく方法のヒントがつかめた今回の旅も忘れられないものとなった。