Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 7月 20日のアーカイブ

妻有準備 まだまだ

2009年 7月 20日

約500本のダボ

約500本のダボ

一人の準備作業3日目。19日の今日中に名古屋に帰るが、月火と授業と準備のあと、22日からまた当地でオープンに向けて作業だ。
6:00起床。すっきりとしない天気だが、今日は晴れそうだ。結局大きく裏切られて散々の雨になったが。
8:00から大工仕事を始める。金槌を打つ音が響くのでこれ以上早いとアウトだ。昨日手のこで切っておいた300本のダボを奥8ギャラリーの床面に打ち込んで行く。途中でダボが明らかに足らないことがわかる。あと200本丸棒から切り出すことにする。全部打ち込み終わったのは10:00ごろ。なんと500本あったダボをほとんど使い果たしてしまった。さあ、「森をつくるおりがみMorigami」を植える作業だ。15日にスタッフ泉が小牧市民病院から回収してきた折り紙の木、そしてMorigamiのデザイナー井藤由紀子が折った折り紙をミックスして植えていった。300本ほどあっただろうか、ギャラリースペースに程よい充満感が感じられるほどは植え込んでおきたい。バランスを見て、増やしたり、減らしたり。
これでもりがみの展示作業は終了で、次の作業に移る。前8ギャラリーは丸テーブルを3〜4台置き、ワークショップをしたり、お客さんのくつろぎスペースとなる。前8ギャラリーには立派な神棚が設えられているが、その下に床の間スペースがある。その凹んだ空間に13インチの液晶モニターを壁掛けする。壁は土壁なので木材で吊り下げるように造作する。そしてモニターを壁にかけてみる。なかなか良い感じだ。ここでは2006年の大地の芸術祭参加時に制作された作品をスライドショーする予定だ。

材木を鑿で切り欠く作業。集中する時間

材木を鑿で切り欠く作業。集中する時間

昼食後は玄関入ってすぐ左手にある階段に大島の入所者であり、写真家でもある脇林さんの作品上映について進める。19インチモニターを2台使った上映を試みたり、階段にモニターを位置をかえながら設置してみる。上映するモニターの位置が決まらなければ、DVDデッキの配置、配線も決まらない。相当時間をかけて検討した結果、階段の踊り場に椅子を置き、スライドショーと向かい合う配置に決定。その後は掃除に後片付け。度重なる作業で道具は散らばっており、ゴミなのか資材なのか、はたまた置き忘れなのか、ビニール袋の包みがあちこちから出てくる。電材、金具類、電動工具、手工具とてきぱきと分けて整理する。こうしておけば、余分に材料を買い足してしまったり、道具が見つからないという心配もない。
一通り整理がついたところで、作品の配置、人の導線、様々な角度から想定して確認する。完成イメージが鮮明になってきた。しかし、まだまだ作業はたくさん残っている。
断続的に降る雨の中をやさしい家を後にし、十日町駅に向かう。
18:22発の電車に乗り、一路名古屋へ。
帰りの新幹線の中でのことだ。私は二人掛けのシートの窓側に座る。隣の男性はがつがつ弁当を食べている。通路を挟んで向こうにはスーツを着た女性と男性がしきりに議論している。二人は医療関係者のようだ。患者さんの患部の写真を撮り、痛みを取り除き、患者さんに説明するという流れについてが話題だ。上司である男性の意見が社会のシステムに沿うやり方のようだが、女性の方は患者さんの気持ちに立って考えていて上司の意見に同調できない。
まもなく名古屋駅に着くという車内放送がある。
私の隣の弁当を食べていた男性も身支度を始める。荷物がやたらと多い。そこへ一人の少年が後部座席からやってきた。どうやらその男性のご子息らしい。少年は私をじっと見つめる。まるで心の底まで見透かされているようだ。
少年が杖を床に軽くトンッとつつく音がしてはじめて気づく。少年は全盲だったのだ。視線の交わらないアイコンタクトは実は深く交わっているのではないか、そんなことを考える。

植え込んだもりがみ

植え込んだもりがみ

休憩中に美しい光が入ってくる。愛用の時計

休憩中に美しい光が入ってくる。愛用の時計

十日町駅のホームから見た風景

十日町駅のホームから見た風景