Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 8月 2日のアーカイブ

子どもの療養環境研究発表会 座長

2009年 8月 2日

会場には全国から医療関係者が集まる

会場には全国から医療関係者が集まる

8:00 自家用車で出発。今日は大府の「あいち健康プラザ」で開かれる子どもの療養環境研究発表会に座長として出席する。本研究発表会で一昨年、名古屋市立大学教授の鈴木賢一さんよりお誘いがあり、10分ほどやさしい美術プロジェクトについてプレゼンテーションした。座長をつとめるほどの人間ではないけれど、皆さんのお話に耳を傾け勉強するつもりで現地に向かう。
9:30 開演。一般口演が20組も並ぶ。しかし、どの取り組みもすばらしい。現場で必要なことは何かという立場に立ち、必要とされていることを実行する。場合によってはそれを司る制度をも変えて行くという能動的な動きが強く感じられた。具体的には子どもたちが入院、通院する際に子どもの人権を守り、弱者に陥りやすい子どもたちの絶対的な味方となることで、治療に専念し、療養環境であっても発達を促し、生きることを楽しむことができる。
海外の事例の発表もあった。日本ではCPS(チャイルドプレイスペシャリスト)という言葉がようやく聞かれるようになったが、海外、特にイギリスでは10床の患児に対し、一人のCPSが義務づけられているとのこと。もちろん、国家資格が取得できる職業として社会的に認められている。一方で日本では実験的に始められている病院があるものの、仕事という認識さえ育っていない。資格制度も整備できていない状態だ。子どもの療養環境では看護師さんと保育士さんが必要になる。そのことさえ、理解が浸透したとは言いがたい。驚いたのは、アートやデザインが入っていなくても、それぞれの病院で行われている行事や掲示物、装飾物のプロデュースが相当に工夫が凝らされていることだ。こうした現場にアーティストやデザイナーが入って行けば、さらに成果が期待できると感じた。それと同時にアーティストやデザイナーが医療の現場と関わりながら、その現実を肌で感じていなければ、形だけの薄っぺらな取り組みになってしまう恐れがある。領域を越えていくためには根源的な世界と対峙し、その重みをしかと受けとめる情感(センス)がなくてはならない。双方にその礎があれば、どのような領域の協働も実現可能だと思う。それはやさしい美術プロジェクトの活動が証明している。
子どもに配慮することを考えることは子どもの家族のことを考え、家族が生活を営む社会を考えることにつながる。大変勉強になった。
17:30 終了。ぶっ続けの発表会。
心地よい疲れがやってくる。