Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 8月 13日のアーカイブ

妻有 現代美術とやさしい美術

2009年 8月 13日

久々の青空のもとでのやさしい家

久々の青空のもとでのやさしい家

大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレは世界でも類のない国際芸術祭である。その特質として都市部ではなく農村部、しかも過疎化が著しく進む地域で行っていること。そしてある一角に集中して展示を行うのでなく、集落の中に点在し、アーティストは制作以前にその場所、住民、コミュニティーに参入しながら制作して行くのである。疑問視する声も聞こえてくるが、大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレは現代美術の祭典である。4回目が開催され、今やその提案性と先進性は誰も無視することはできない、日本という国家制度に一石を投じるイベントとなっている。
私たちやさしい美術プロジェクトは現代美術という枠組みでは捉えられることがあまりない。というか、現代美術の関係者は興味を持たないようである。一方私はカナダや韓国、イギリスでの展覧会に参加したり個展を開いた時に、そこでやさしい美術プロジェクトの話をすると、どの美術関係者もとても興味を持ち、また、アーティストの取組みとして敬意を表してくれた。
話は変わる。今日の午後、栃木県立美術館のシニアキュレーター山本和弘さんがやさしい家を来訪。そして急遽病院内の見学をすることになった。やさしい家の展示ももちろんだが、病院内での取組みの様子、展示を大変感慨深く見ていただいた。山本さんはヨーゼフ・ボイスの研究を軸に、それを突き詰めれば、医療福祉とアートの分野を研究すべきと考えたという。ボイスといえば、現代美術を語る上でぜったいに欠かせない重鎮である。
活動が真に支えられるのは、それが継続され、人々の注目が集まり、研究され、いささかオーバーであるが、歴史の一部になることだ。こうして現場に来ていただいて、つぶさに観ていただけることがとてもうれしい。
また、話は変わる。いつも行く居酒屋のマスターがやさしい家に車を横付けにするなり、桃とスイカを置いて行ってくれた。風のようにやってきて、風のように去って行った。かっこよすぎる。近所の方から漬け物やら野菜をいただく。そして道行く人の笑顔だ。こうしたたくさんの応援が私たちを支えてくれる。