Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 8月 23日のアーカイブ

妻有 ツアー3日目

2009年 8月 23日

ツアー3日目。
9:00にホテルロビーに集合。学生たちは時間をきちんと守ってくれている。チェックアウトを済ませ、荷物をバスに積み込んで出発する。
9:45 マウントパーク津南に到着。冬期はスキー場であるマウントパークのオフシーズンは野外美術の彫刻公園になっている。かなりたくさんの作品がならぶ。山間に作られたスキー場の空間は野外彫刻をくっきりと見せるには好都合だが、人の所在が感じられないうえ、周りの環境を丸ごと作品にしてしまうような作品はあまり見受けられない。李在孝の「0121-1110-=109061」を観る。北東アジア芸術村構想のもとにこれから何年もかけて作品を展開して行くと言う。これからを期待したい。
2003年の作品だが、本間純さんの秀作を観ることができる。この地方特有の天井が丸いガレージに窓を取り付けそこからのぞくと住民から集めた使われなくなった鉛筆の森を眺めることができる。私の大好きな作品の一つだ。
山文字プロジェクトは参加型のプログラム。山の中腹に「山」と読むことのできる白いぬのの集積。それは人々がメッセージを書き込んだもので、遠くから見た時と近くで見た時の印象が全く異なるものだ。ツアー参加の学生たちが早速参加して、メッセージを描き込む。

光の中に影がある、なんとも不思議な光景

光の中に影がある、なんとも不思議な光景

山の中を5分ほど歩き、ドラゴン現代美術館を観る。今では世界的なアーティストとなった祭国強(ツァイグォチャン)がプロデュースし蛇窯をギャラリーにした前代未聞の美術館である。馬文(ジェニファーウェンマ)の作品がフューチャーされている今回の展示は墨汁が窯の底に満たされたインスタレーションだ。窯の周りをよく見渡すと墨汁で塗装された野草や樹木が影を落としている。なんとも恐ろしい情景。放射能のように寝食して行く墨の世界だ。
なんとも喩えようのない気持ちを抱きつつまたバスに乗り込んで次の展示にいそぐ。林舜龍(リンシュンロン)の「国境を越えて」、伍韶勁(キングスレーング)の「wind chimes」を観る。林舜龍の作品は自国台湾の文化を色濃く反映した作品で、周辺をリトルワールド(野外民俗博物館)にしてしまったかのようだ。この違和感は今後どのようにこの地域に定着するのだろう。稲穂がまぶしい。学生たちは作品を含めたこの日本の原風景に溶け込んで楽しんでいるようだ。
13:25 そば屋さんに行く。一番人気のお店にはたくさんのお客さんが殺到している。私たちは予約がしてあったのですぐに奥の予約席に通される。まさに贅沢旅行だ。不満をこぼすものは一人もいない。美味しすぎるー。量も半端では無い。そばの応酬で、全員撃沈。
14:20 やさしい家に戻る。数人のツアー参加学生が岡村の主宰するヒンメリワークショップに参加する。とにかく好奇心旺盛だ。このツアーに参加するぐらいなのだから。
14:40 やさしい美術のメンバーも載せて、満席状態でやさしい家を出発。
途中中津川近辺で渋滞する。
21:50 名古屋造形大学に到着。
22:00 春日井駅到着。解散。
3名の教職員の感想は大地の芸術祭が10年をかけて地域と深く関わり、今の芸術祭の形があることが実感できたと話した。そう、私たちやさしい美術も8年前から足助病院にて始まった協働と交流、前回の大地の芸術祭から培った関わりが今のやさしい家、院内の活動に結実していることを実感してもらえた。
無論、その葛藤と一連の営みはそのただ中に居なければ実感できるものではない。しかし、少しでも学生たちの引き締まった表情と逞しくなった姿を、この大地の芸術祭とともに感じ取ってもらえたら、私にとっては目標は達成できたと言って良い。これからもやりますよー、やさしい美術は。

このそばの量を見て。

このそばの量を見て。