Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 8月 28日のアーカイブ

シンポジウム出演

2009年 8月 28日

開催前の壇上

開催前の壇上

社団法人地域問題研究所 第39回総会記念シンポジウム「中部の明日を切り拓くまちづくりの若きリーダー達の挑戦」にパネラーとして出演した。
12:00 KKR名古屋2階梅の間に出演者集合。お弁当を食した後進行を打ち合わせる。「若きリーダー」ということに皆ひっかかっていたようだが、私が一番気にしていなかったようだ。聞けば私が一番最年長、今回お誘いいただいた地域問題研究所の池田哲也さんの言うところでは私のブログは「年齢不詳」とのこと、若手に混ぜていただいて光栄だ。自分で言うのもなんだが、私は青臭い馬鹿力でなんでもやってしまう質なので。
打ち合わせで観客は130名ほどと聞く。100名集めるには広報を始め、大変な労力があったと想像する。この名古屋地域でしかも有名なタレントでもない私たちの話を聞くために100名以上集まっていただくなんてありがたい。
13:30〜15:30 シンポジウムが始まる。それぞれパネラーが10分程度のプレゼンテーションを行う。順番は前の演者からの指名方式。皆さん、トークがうまい。そして、皆さんの取り組みがとても興味深い。出発点が個人的な問題意識と使命感としながらも、それがきちんと多くの人々に行き渡って行くことが意識されている。そして、私が一番刺激になったのは特に法人化して自分たちの活動で飯を食べている人たちのたくましさだ。助成金や補助金に頼り切らず、地元の住民や企業、行政と連携をとりながら、資金をつくり自分たちの生活を支えている。
私は大学に所属して給料をいただいている身である。だからこそ、学生たちの可能性を引き出し、地域社会で機能して行ける仕組みを作って行くことができる。それはそれで大学人として大切な使命だが、卒業して社会に旅立つ学生の行く末を睨んで行く視点が弱くなる傾向にある。新しい取り組みであるからこそ、試みで終わらせてはいけない。研究者との連携、人材育成の視点、社会的な実績の積み重ねがさらに重要になって来るはずだ。そしてもっと重要なのは初動機の新鮮さを保ち続けて、仕事を楽しみ、人々にもよろこんでいただいて、つながり、支え合うことに携わり続けるエネルギーである。
年齢に関係なく、それは「若さ」と言えるのではないか。

約130名の方々が来場

約130名の方々が来場

15:40〜16:40 パネルディスカッション
ディスカッションに入り、皆さんの貧乏自慢や軌道に乗るまでの苦労話に花が咲く。ほとんど収入もなく、でも自分がやらなければならないこと、自分が身を呈してやりたいことを主張し続け、行動に起こしていく、という経験をパネラー全員が持っていたことが興味深い。それでもなんとかやって来れたのは地域の方々の支援や応援、心の支えになっていただいたから。私も小原村での経験を話させていただいた。アルバイトをしても生活費と作品の制作費にすべて消えていってしまう。小原村の鶏小屋を家賃3000円でお借りし、小屋を改造して生活していたころ。なんでも自分一人でなんとかして行こうと必死だったが、沢の水を飲み、集落の寄り合いに入れてもらって、生活をしていくと、私の身体は世界の一部であり、私自身の枝葉はどこまでも世界とつながっているということを思い知らされた。その経験は今の私を確実に支えているし、これからもこの恩を忘れず謙虚にやって行きたい。
17:10〜19:00 意見交換会
ここで追加でプレゼンテーションする時間をいただいた。私はあらかじめスライドショーを用意しておいたので、十日町病院の取り組みの様子、やさしい家の機能と役割について発表した。一部の方々にはとても興味を持っていただいた。行政で働く多くの人々からお声をかけていただいた。「アートと医療が結びつくなんて、全く想像できなかった視点です。」「アートは遠くにあるものだと思っていました。あのような作品もあるんですね。」「参加型の作品やワークショップに興味を持ちました。現場で起きたエピソードに泣きそうになりました。」などなどの感想をいただく。
最後のパネラーとしてのコメントとして、「十日町病院での取り組みの最初はとても作品が展示できるような関係ではありませんでした。それが、一緒に考え、悩み、協働する信頼関係を時間をかけて築くことができました。前回の大地の芸術祭で病院から作品を撤収し、打ち上げの宴会の席で私は挨拶をすることになりましたが、全くコメントの一つもできませんでした。涙が止まらなくてー。何も説明できないぐらいまで、やる、やり続けるのが私の目標です。」
パネラーの皆さんの芯の強さ、繊細さ、人柄の大きさを私はとても尊敬している。皆さんの取り組みを見せていただいて日本の未来は明るい、とさえ思える。この場に混ぜていただいて感謝の気持ちでいっぱいになった。
分野、専門が異なっていても、目に見えない、意識されにくい、人と人、人と地域の関係性をつむいでいく活動家たちを横につないでいく意識でシンポジウムを企画された地域問題研究所に敬意を表したい。
※パネラーの皆さんのお話の内容、活動についてここでは触れませんでした。以下、パネラー、コーディネーターの方々のお名前を列記します。
出演者:秋元祥治(NPO法人 G-net代表理事)、加藤恵(半田市障がい者相談支援センター センター長)、河合美世子(NPO法人 こうじびら山の家理事)、高橋伸行(名古屋造形大学准教授 「やさしい美術」ディレクター)、水谷香織(パブリック・ハーツ株式会社 代表取締役兼ファシリテーター)、三矢勝司(NPO法人 岡崎まち育てセンター・りた事務局長代理)、溝辺育代(株式会社 M-easy取締役)
コーディネーター:岡田敏克(Will Platform世話人代表)
シンポジウム主旨:中部地域のまちづくりにおいて、様々な分野で活躍されてる若手リーダー(研究者、専門家、NPO、事業家など)に光をあて、そこで挑戦されている新しい活動・事業の内容や、そこに込められた新たな社会的価値、さらには若手人材による次世代のまちづくりを推進するために、住民・地域・行政等の協働の仕組みや行政に求められる役割などについて、皆さんとご一緒に考えていきたいと存じます。(シンポジウムチラシより抜粋)