Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 11月 6日のアーカイブ

アンケート調査

2009年 11月 6日

大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2009に参加し、閉幕の9月13日からすでに2ヶ月が経とうとしている。大学内にいると、「少しは落ち着きましたか。」「ちょっとはゆったりできましたか。」と訊ねられることが多い。私個人のことで言えば、トリエンナーレ前、トリエンナーレ会期中と続き、全く同じペースで仕事をしている状態。

芳賀が制作した「?はてなクッション」はほんとに?

芳賀が制作した「?はてなクッション」はほんとに?

昨日はスタッフ井口と今年度末に発行する予定の記録誌の打ち合わせを行う。内容は濃いものとなるが、当初の予定である80ページは大きく越えそう。今日は足助病院に行き、アンケート調査のお願いにうかがう。約2年をかけてアンケート調査の方法から分析に至るまでの研究を重ねて来た。名古屋大学の川口潤教授と北神慎司准教授にコンサルティングにはいっていただきながら、暗中模索で進めて来たものが、ようやく形になりつつある。小牧市民病院のアンケートボックスで地道に集めた300件の自由記述をデータベースに載せ、解析ソフトによって感性的な評価にかかわる要素を抽出した。そこから、心理学のSD法に近接している形容詞句が浮かび上がり、急速にアンケートの内容が決まって来た。このアンケートを困難にしているのは、病院の患者さん、病院職員さん、お見舞いなどの病院に様々な理由で来る方々すべてが対象になること、アンケートの時間をできるかぎり短くして煩わしさをなくすこと、そして、どの病院でも同じ条件でアンケートが行えることなどの諸条件だ。各病院をまわってリサーチしてみると病院内でのセクションの分け方は一様ではないことがわかってきた。職種の分け方も微妙に違う。こうした病院内の現実に則したものでなければ、正確なアンケートができないし、場合によっては失礼にあたってしまい、アンケートに答える気持ちがスポイルされてしまう。私は何度か「アンケートはできないのではないか。」とあきらめかけたが、スタッフ泉の忍耐強い調整で、あともう少しというところまでたどり着けた。
このアンケートは職員さんだけで3病院合わせて1500件、患者さんなどに300〜400件という膨大なデータ数になる予定だ。まだまだやさしい美術の実験は続く。