Nobuyuki Takahashi’s blog

2010年 4月 10日のアーカイブ

大島 第一回定例検討会

2010年 4月 10日

23:00 オリーブ松山号に乗り、高松へ。初めての夜行バスでの大島行き。二階建てバスで一階は女性専用。シートが独立していてリクライニングもできる。カーテンが完全に閉め切られ外が見えないので違和感を覚える。すぐ慣れるのだろうが。

高松に着きドリーム松山号を見送る

6:50 高松着。あいにくの曇り空、風も強い。大島はもっと風が強いだろう。
カフェに立ち寄り朝食をすませる。コーヒーを飲みながら道行く人々をぼんやりとながめる。私は平凡な日々の積み重ねの1ページを眺めているにすぎない。旅人からは特別な一瞬のように感じられる。犬と散歩する人、手をつないで行き過ぎるカップル、自転車で朝市の荷物を携えて慌ただしく通り過ぎる人…。心新たに私の日常も旅人の視点になってながめてみよう。一日一日を大切に生きていく秘訣かもしれない。
9:10 せいしょうに乗船。テレビ局、新聞社の記者がごっそりと乗ってくる。今日は庵治第二小学校の入学式だからだ。たったひとりの新入生。しばらく休校だった小学校が再開される。小さい出来事だけれど入所者にとっては大切なセレモニーだ。その瞬間を捉えたい一心でメディア関係者が集まる。
9:40 大島に着く。すぐさま小学校に行く。

たった一人の入学式

10:00 入学式が始まる。体育館の真ん中にぽつりと一脚の椅子。入学式を祝おうと入所者、職員が集まっている。やさしい美術とこえび隊6名も一緒だ。自治会長山本さんがあいさつをされた。「たった一人の入学式ではありますが、心温もる思いがいたします。」お子さんをのこすことを許されなかった入所者にとって、大島でこどもたちの声が響き渡ることはよろこびであり活力が与えられるだろう。
入学式を取材するメディア各社。鳴りやまぬシャッター音。その中には入所者の脇林さんの姿もあった。入学式が終わった後校門の桜を前に脇林さんとしばし談笑。古い写真の取材を脇林さんは続けている。私も取材しなければと思いながら、他の作業でまだ手が届いていない。今後集中的に進めていかねば…。
10:30 カフェ・シヨル(第二面会人宿泊所)に戻り、壁面の漆喰塗り作業にとりかかる。途中でこえび隊がもう一方増えて、作業現場はにわかに活気づく。新聞社の記者さんも取材にくる。

大島よもぎのスコーン

12:30 野村ハウス(11寮)で昼食。井木、泉がサンドイッチを作ってくれた。おいしいコーヒー、そして「よもぎ祭」で試食するためのよもぎのスコーン…。かんきつ祭といい、よもぎ祭といい、彼女たちのアイデアは尽きない。カフェの助走はすでにスタートをきっている。ギャラリーの方が一向に進んでいない。挽回しなければ…。
13:30 やさしい美術とこえび隊事務局の甘利さん、AFGの高坂さんと大島を開いていくために必要な人員配置、役割分担、一般来場者のガイドの流れについて話し合う。今のうちから綿密に打ち合わせておかねばならない。こえび隊は定期的にミーティングや勉強会を行っている。大島をあついトークで解説した方もあったと聞き、うれしくなる。こうして大島のことが人、そしてまた人へと語り継がれていくことがとても大切だ。こえび隊の皆さん、本当にありがとう!これからもよろしくお願いします。
引き続き漆喰塗りの作業をお任せして私と甘利さん、高坂さんは香川県庁宮本さん、今瀧さんと合流して自治会会議室に向かう。
14:30 正式に瀬戸内国際芸術祭実行委員会に大島青松園が参入してから初めての定例検討会。事務長、事務長補佐、福祉室室長、副室長、官用船船長、看護総師長、看護副師長、そして同郷の副園長—。錚々たるメンバーだ。マナーペーパー、ルートマップ、開館時間、官用船への乗船手続きなど、大島を開いていくために必要な案件が次々と検討されていく。自治会長の山本さんの言葉が力強い。「思わぬことも多少なりとも起こるでしょう。瀬戸内国際芸術祭に参加すると決めたのだから、前に進まないと。」建設的に取り組みを進めていこう、そのような決意と強い意志を感じる。私には何よりも心強い。
16:00 定例検討会終了。身支度をして桟橋に向かう。泉は明日まで大島滞在、井木は所用のため急遽帰宅。その途中、突然軽トラックに乗った青松園の職員大澤さんに声をかけられそのまま軽トラックに乗る。ゴミ捨て場にあった大島ダンスらしきものが目に留まり、保管しておくかどうか確かめるため声をかけてくれたのだ。大島の日常に接している方からこうして様々な情報をいただいている。泉に見送られながら官用船せいしょうに乗り込む。船長が操縦室から出てきて、船室で先程の検討会の議論の続き。私は新聞記者のインタビューを受ける。慌ただしいけれど、大島を取り巻く人々の関心は活気を帯びていると実感する。

芸術祭実行委員会オフィスから島々を眺める

ターミナル7階に設置された瀬戸内国際芸術祭実行委員会のオフィスに寄り、今日あがった検討事項とこれから組み上げていかなくてはならない事項を相談する。きれいなオフィスにはこれまた使用感たっぷりで木製の事務机が並ぶ。新しいものを買うのではなく、あるものを使う。こんなところにも芸術祭の精神が生きている。
会議の後、食事をすませた後はターミナルビルのベンチで仕事する。

オリーブタワーに飾られた芸術祭の垂れ幕がシャープでかっこいい

22:10 夜行バスに乗り、名古屋へ。明日早朝6:00ごろに到着予定だ。