Nobuyuki Takahashi’s blog

2010年 10月 1日のアーカイブ

足助病院研究会 忍耐のとき

2010年 10月 1日

10:00 mozoディスプレイプロジェクトを進める3年次学生が研究室にやってくる。昨日の打ち合わせの後、夜中に私のPC宛に三面図を送ってくれていた。昨日のワールド+モーフィングとの打ち合わせで高さ3メートル幅は5メートル近い大きなディスプレイを2つも担当することになり、いよいよ制作に向けてエンジンがかかる。デザインの間ディスプレイが終わってからもこなさなければならない産学共同プロジェクトが続く。
10:30 愛知アートコレクティブ代表の鈴木敏春さんが研究室を訪れる。
愛知アートコレクティブ主催で11月21日に愛知芸術文化センターで大島での取り組みを報告する講演会を行う予定だ。必要データと掲載文の依頼を受ける。
12:00 プロジェクトルーム集合。足助病院研究会に出かける。私とスタッフ川島、リーダーの古川のみの参加だ。制作に慣れていないメンバーに制作時間を充分に確保し、病院職員の皆さんに度重なる検討で負担をかけないためにも早く作品案を通しておきたい。そのため研究会の日程を早めたのだ。プレゼンテーションは学生が個々のプランを自分で発表するのがベストだが、病院内で開く研究会が授業時間帯にかかってしまうため、参加学生の調整が難しかった。一方で施設サイドは忙しい医療業務の合間を縫って研究会を開いていただいている。平常の大学の授業運営とうまく連動することができない、こうした対社会的なプログラムの大きな悩みである。9年目にはいったやさしい美術プロジェクト。現代GP補助事業期間を終了した今、本学の地域貢献に資するプロジェクトにふさわしいかたちとなっているのか?私たち教員は真剣に考えなければならない。
ここのところずっとずっと考えてきた。やさしい美術プロジェクトへの社会的関心度、役割の重要度は高まる一方で、窓口と運営体制はまったく進化していない。単に私の力不足もあるが、本質的に何が問題で、何を解決すべきかを判断しなければならない局面にいることは確かである。昨日、自宅に帰る車中で自己確認できたことがある。それは、私たちの取り組みはすでに私たちだけのものではない、ということ。社会へと乗り出し、多くの人々の期待と協働の上になりたっているやさしい美術プロジェクト。私の一時的な感情や激烈な行動で崩壊させてはならない。どんなことがあっても応援してくれている方々や注目してくれている方々、取り組みを通して出会い、関わりが深まった方々、そして現場で真剣に取り組んでいるメンバーの姿を心に焼き付けて歩まなければならない。年々険しくなる道のり、私の足腰の強さが試される、忍耐のときである。
13:30 研究会の1時間前に足助病院に到着する。作品のコンディションや関係部署との相談を進めておく。
14:30 研究会開始。忙しいところを大山看護師長をはじめ7〜8名の看護師さんが集まってくれる。今日提案するのはB棟に設置されているミニギャラリー「えんがわ画廊」の活用プラン。今年から参加しているメンバーの作品を中心に来年の春まで作品が入れ替わって行くプランで、スタッフ川島がイニシアティブをとってくれている。
リーダー古川が代理で1つ1つのプランを丁寧に説明していく。
議題に沿って作品プランを一通り説明したところで質疑に入る。今日この研究会でプランの検討を終えて制作に入りたいという意思を前もって病院サイドにつたえてあったからか、作品プランに対する率直な意見が飛び交う。
看護師さんらの見極めようとするまなざしに手応えを感じる。議論が繰り広げられるこの場がとても心地よく感じられた。霧が晴れるように、感情的だった私の心が鎮まっていく。やはり、現場はいいものだ。
研究会の後は作品メンテナンスをする。以前は私が率先してすべてを実演してみせていたが、最近はスタッフ川島が私に代わってだれよりも率先して作業し、それを着実にメンバーに引き継いでいるかをチェックするようにしている。ディレクターは本来そうあるべきだが、今までは私が自ら動きすぎてしまったきらいがある。私が動きすぎると、学生メンバーはとたんに受け身になる。享受者ではなく、当事者にならなければ現場では働けない。そのことを身を以て理解してもらわなければならない。
18:00 足助病院を出発。すでに日が落ちている。空の趣は秋を通り越して冬を感じる。
19:00 大学着。荷物の整理、機材の片付けなどはスタッフ川島と古川がしっかりとやっている。それを見届けて研究室にもどる。
21:30 帰宅。