Nobuyuki Takahashi’s blog

2010年 10月 29日のアーカイブ

大島の将来構想

2010年 10月 29日

ラストスパートの大島。高松に着いてwebの更新ができていないことに気付き、推進室に寄って急いでwebの更新作業。その後、たくさんの来場者とともに11:00の官用船に乗り込む。桟橋でカフェのサポートをしてくれるやさしい美術プロジェクトメンバーの張と合流。二人ともアコースティックギター持参なので、年の差バンドっぽい(そんなジャンルあるんだろうか…)感じになってしまう。
大島に着くとこえび隊のガイドを務める皆さんが来場者をてきぱきとさばいている。私は荷物を置くとすぐにギャラリー15に行き来場者への解説に追われる。新聞社の記者さんから瀬戸内国際芸術祭における大島の取り組みについての総括と今後の展開についてコメントを求められる。記者さんばかりではない。来場者からも「芸術祭が終わった後はどうなるんですか。」「大島にはこれからも来ることができるのですか。」といった質問が続く。
13:45 来場者がギャラリーからいなくなり、野村ハウスに戻って昼食。職員食堂の智代子さんからおでんをいただき、メンバー天野が野村さんの畑でとれた大根葉で菜飯をつくってくれていた。美味しい!
14:20 桟橋に行くと官用船まつかぜに満杯の来場者が桟橋を練り歩いている。最後尾に自治会長山本さんの姿があった。私は「山本さん、以前からご相談している今後の活動の展開についてお話ししませんか。」と声をかけると「まだ提案書、読み込んでないので明日にでも話しましょう。」とおっしゃる。自治会長職は大変お忙しいとは理解しているが、なかなか話が前進しない。これまでもこうしてじっくりとやってきたのだから、焦るのは禁物だ。
一旦ギャラリーに行き、来場者とお話をする。

安長さんから預かった自転車、通称:安ちゃり

15:00 自治会室へ。山本さんが新聞記者さんの取材を受けている。まだ時間がかかりそうと思い、退席して自転車にまたがった時に背後から記者さんの声が。「山本会長、先生かえっちゃうんか、とおっしゃってますよ。」お話ができるタイミングだ。自治会室に戻り、さっそく提案書を広げながら説明する。
芸術祭終了間際の今だから言えるが、芸術祭が始まった時点で私は「{つながりの家}は継続する。」と自治会長、青松園事務長には宣言していた。私はその継続方法を自治会長が提唱する将来構想に包括されるかたちで改めて提案した。つまり、入所者の皆さんとの協働が前提となる取り組みである。10月に入り、山本会長は臨時で「資料収集委員」なるものを入所者で立ち上げた。私はそこに混ざって「古いもの、捨てられないもの/声、音の収集」作業に取り組みたいと考えている。わたしがこの芸術祭で集め、発表したものも山本会長の構想の中に取り込んでいくというお考えのようだ。このブログにも以前書いたように、資料的価値の篩に適わない記憶や痕跡を掬いとることができるのはアーティストしかない、と私は確信している。私の役割がここにある。
山本さんと議論をしているところに青松園稲田事務長がやってくる。タイミング良く事務長もお話がしたかったとのこと、急遽福祉室西嶋室長も交えて協議にはいる。
詳細はつめきれなかったが、{つながりの家}をまずは継続し、12月以降に具体的なスケジュールを発表する、との方向性で合意できた。この時点でカフェとギャラリーは芸術祭終了とともに消滅するということはなくなったわけだ!
16:30 話し合いが長引き、自治会室を後にしてすぐさま桟橋へ行き最終の高松便を見送る。まつかぜは隙間なくみっちりと人が乗っている。新妻さん、末藤さん、小坂くんがこえび隊としてではなく、個人的に第一面会人宿泊所に泊まることになった。入所者の森川さんに招待され、一席を設けることになったのだ。
17:30 第一面会人宿泊所に行くと玄関に見慣れた電動車椅子が停まっている。森川さんのものだ。玄関は行ってすぐの台所に行くと一足先に森川さんが座っていた。テーブルにお膳を模したお弁当の箱、灘のお酒が並ぶ。森川さんが今日のために用意してくれたのだ。
19:00 話に花が咲いているところに泉、井木、張、天野が合流。カフェの仕込みの合間を縫って顔を出してくれた。
20:00 カフェ・シヨルメンバーふたたび仕込みに向かう。
23:30 宴会お開きとする。森川さんは顔色が全く変わっていないけれど、相当飲んでいた。少し心配なので森川さんがお住まいの不自由者棟まで見送ることにした。電動車椅子は蛇行。森川さんも「蛇行しているのはわかってるよ。」とおっしゃる。千鳥足は電動車椅子になるとこうなるのか。なんとも危なっかしいけれど、でも森川さんは上機嫌だった。ほんとうに楽しかった。
その後はカフェ・シヨルを間借りして飲み直す。今日、森川さんと話した、入所者の心情について振り返りながらとりとめなく話す。また今日もたくさんのエピソードが私の記憶にとどまった。時間がゆったりとできた時にそれらを今の大島に投影して観てみようと思う。
3:00 就寝。