Nobuyuki Takahashi’s blog

場所はなくなっても

慧地が生まれ、やさしい美術がスタートした頃、休日はギャラリースペースの工事に没頭した。

慧地が生まれ、やさしい美術がスタートした頃、休日はギャラリースペースの工事に没頭した。

午前中子どもたちを実家に預け、Space+で開かれている「less was more」展の会場当番に行く。作品は建物の隅々にわたって展示されている。しかも映像作品が多い。電源を入れ、お客さんを招いても良い状態にするまで少し時間がかかる。それにしても、韓国の作家は映像インスタレーションが上手い。メディア系の作品とは明らかに異なるテイストなのだ。モニターやプロジェクターをまるでドローイングを描くように使う。これは、やはりナムジュンパイクが培ったベースの上に立つが故のレベルの高さだと思う。
あるお客さんが「皆さん、お元気で。」とおっしゃった。アートハウス七福邸を経て、+Gallery、そしてスペースと運営企画部門とを分けて+GalleryプロジェクトとSpace+へと改称…。間もなくこのスペースは取り壊される。新しい街づくりのために1つの営みが消える。この場所にお別れを言いに来た方もみえるのだ。会期中今日しか時間がとれず、今日が私も実質のお別れだ。思えば、多くのアーティストがこの場所を使って暴れ回った。スペースと格闘し、共存し、暮らして制作したアーティストも何人もいる。その経験の種が一人一人のアーティストによって全国に散らばり、世界に散らばっていった。私もこのスペースに育てられた1人である。
スペースは跡形もなく消えるが、+Galleryプロジェクトは続く。つながりは断たれない。