Nobuyuki Takahashi’s blog

統計学(アンケート調査)ワークショップ

統計学ワークショップの様子

統計学ワークショップの様子

9:15 プロジェクトルームに向かうとすでに泉、赤塚が準備作業をしている。今日は名古屋大学から川口潤教授と北神慎司准教授を招き、アンケート調査の分析方法や分析結果の編集などのコンサルティングをお願いしている。
足助病院、十日町病院、小牧市民病院から1600件以上のアンケートを集めた。それらを病院、性別、年齢層、外来、病棟、外来職員、病棟職員などの属性に分けてエクセルデータに打ち込んである。今日はそれらデータの分析方法を検討し、分析結果の読み取り方などにアドバイスをいただく。
ここで、この統計学ワークショップの経緯をまとめておきたい。
やさしい美術プロジェクト創設時より約6年間足助病院と小牧市民病院で断片的なアンケートを行ってきた。足助では患者さんに直接お話を伺う機会を得ることができ、作品に関する感想ややさしい美術の取り組みが院内に浸透しているかを探るアンケートを行った。小牧では各作品の傍らにアンケートボックスを設け、作品への感想と取り組みに関する所感を自由記述で集めてきた。「断片的」と言ったのは、これまでとってきたアンケートは作り手側が「ダイレクトに自分たちの取り組みについて意見を募る」という目的のほかは、統計的に、定量的に捉えられなかったことに他ならない。私たちの取り組みは一般的に見られるコミッションワークのように依頼ー制作ー設置で完結するものではない。むしろそれぞれの作品や企画が着地点を見たと同時にそこを出発点に次の取り組みに向かっていく。言わば着地点のない営みを繰り返し刷新しながらそこに居る人々の意識を変化させ、また作り手側も現場と密接な関わりを持って変化して行く、そんな取り組みなのだ。創設から5年ほど経った頃から、私は取り組みを継続をしていくための何か基準、指標になるものが必要だと感じるようになった。病院内で協働している病院職員の皆さんは院内のアート・デザインの取り組みの有用性を実感しているけれど、それを裏づける根拠(エビデンス)はどこにもなかった。一言でまとめれば「アートは病院に必要か。」という問いに私たちは答えられるのか、ということである。
平成19年10月から始まった現代GP選定事業に選定され、すぐさま私は「病院でアート・デザインの取り組みを行うことにより、人々の意識にどのような変化があり、心の動きが見られるのか。」ということを定量的に示すことのできるアンケートを実現したいと考えた。しかもそのアンケートは継続的に実施可能で、地域、特性の異なる病院でも統一したフォーマットで調査し様々な属性に照らし合わせて感性的な傾向を比較することのできるアンケートをめざしていた。大きな目標を掲げたものの到底私の手には負えず、名古屋大学の茂登山清文教授を介して心理学の専門家である川口先生と北神先生に「統計学コンサルティング」を依頼し、年に2〜3回のワークショップを行ってきた、というのが一連の経緯である。
今日のワークショップはアンケートの実施方法が決定し、実際に調査を敢行し、その調査結果のデータを文字通り「分析」するクライマックスを迎えた。
つぎつぎの明るみになる分析結果。私たちが予測していたこともあるが、全く予測していなかったことも次々にあぶり出されて行くー。
この分析結果は2月24日(水)13:00〜開催する活動報告会にて発表する。もちろん、現代GP選定事業として最終年度を迎え、年度末に発行予定の記録誌に詳細を掲載する予定だ。学会での発表も視野に入れて行きたい。
お楽しみに!

デザインの間の特徴的な天井

デザインの間の特徴的な天井

午後は3年次の授業の一環で、「デザインの間」ディスプレイプロジェクトの新メンバーで名古屋市千種区星ヶ丘にある「デザインの間」に見学に行く。館長の計らいでアテンダントスタッフが丁寧にガイドしていただいた。前回のプロジェクトに参加していた1人を含む4人の有志のモチベーションがぐぐっとあがる。

16:30 大学に戻ってくる。必要書類の作成、様々なプロジェクトの準備、膨大なメールの返信、コースカリキュラムの作成、シラバスの作成、非常勤講師の方々の授業依頼に追われる。
昨日同様2:00帰宅。