Nobuyuki Takahashi’s blog

大島見学ツアー 茶色い残像

7:15 名古屋駅新幹線口に集合。高橋、リーダー古川、陶芸部川田、元スタッフでMorigamiのデザインを手がけた井藤さん、ロゴのデザインをお願いした溝田さん計5名で大島に向かう。泉、井木はすでに前日から大島入りしている。あと一人、卒業生家さんが相生から参加、高松で待ち合わせることになっている。
7:30 あいにくの雨の中新幹線に乗り込む。岡山、高松とも雨。強烈な雨女と自称する泉の仕業か??
11:00 相生から無事に家さんが合流し、総勢6名で官用船まつかぜに乗り込む。
船には社会見学の中学生がぎっしりと乗っている。外は冷たい雨。窓ガラスが曇り、外の風景が臨めない。
11:20 大島に着く。桟橋に入所者の野村さんが見学の中学生を迎えるために待っている。「雨のなか来たか。」と声をかけられる。今日初めて大島を訪れた人々を野村さんに紹介する。
そのままカフェ・シヨル(第二面会人宿泊所)に行くと畑の作業を終えた泉と井木が迎え入れててくれる。雨と冷たい風で体感温度はぐっと低く凍える寒さだ。畑の草抜きをしたというがさぞ寒かっただろう。
一行はカフェ・シヨルにあがり、進行中の計画を説明する。

ろっぽうやき試作と金時人参のケーキ

12:00 野村ハウス(11寮)に行き、昼食をとる。泉が作った「ろっぽうやき」の試作と入所者の大智さんの畑で採れた金時にんじんのケーキをいただく。とってもおいしいが、入所者の皆さんが記憶しているろっぽうやきにどれだけ迫れるかが勝負。20年ほど前に亡くなられたある入所者がお菓子職人だったそうで大島の住人はその方がふるまったろっぽうやきは語り継がれている伝説のお菓子だ。親交の深かった岡山県長島の愛生園の入所者も大島に訪れる際はかならずお土産に持たされたと聞く。今は入所者の記憶にしか残っていない「ろっぽうやき」を復活させることは記憶をかたちにする作品である。泉はろっぽうやきを取材し、再現するのみにとどまらず、ろっぽうやきをめぐるエピソードや人々の暮らし、当時の空気感を作品で表現するプランを構想中だ。
13:00 納骨堂を参拝し、風の舞に足を運ぶ。火葬場近くで公園を整備中の福祉室作業部の皆さんと会う。職員の大澤さんも紺色の合羽着用で作業まっただなかだ。風の舞から西の浜へ。風が身にしみる。止まぬ風が容赦なく吹き付ける。
14:00 自治会事務所に立ち寄る。2月から会長に着任した入所者の山本さん、副会長の大智さんとしばし談笑。畑の作業のこと、ろっぽうやきの味はいまいちだ、泳いできたイノシシの噂がおもしろいだの、猿か何か茶色い残像を見たなど、話題はつきない。初めて大島に来た4人も話の輪に加わり楽しいひとときを過ごした。山本さんには明日の発行に先立ち、できたての「やさしい美術プロジェクト活動報告所平成19年—平成21年」をお渡しする。越後妻有アートトリエンナーレで展開した「やさしい家」で展示した、山本さんの陶芸作品が掲載されているためだ。
14:30 陶芸室に行くと職員の土橋さんが陶芸室で入所者の作品の手直しをしているところだった。私たちが制作したカフェで使用する大島焼も窯詰めがあらかた終わっている。私たちがやらなければならないところをいつもカバーしていただいていて、恐縮してしまう。
15:00 入所者の森さん、野村さん、脇林さん宅に寄り、活動報告書を手渡す。脇林さんは山本さんと同様「やさしい家」で写真作品をDVDに編集した映像作品を上映した。その記録が掲載されている。
15:30 最後にギャラリー15(15寮)に行く。集めた「古いもの、捨てられないもの」を見せて、一つひとつの事物にはり付いて離れない記憶について解説する。
15:45 野村ハウスで荷物をまとめて桟橋へ。
16:00 見学者や訪問客を見送るために野村さん、森さんに私たちも見送られながら大島を出る。
16:30 AFG高坂さんと高松で今後の活動について打ち合わせる。こえび隊の要請についても検討事項がいくつもある。大島に来た来場者をご案内するために研修や勉強会も必要になってくるだろう。大島は確かにほかの島と事情も歴史的背景も異なるため知っておいてもらわなければならないこともたくさんある。
17:30 せっかくなので全員で兵庫町商店街に行きセルフうどんでうどんを食す。私は釜たまうどん。和製カルボナーラだ。茹で立ての麺が最高においしかった。
18:40発マリンライナーで帰路につく。車中私はぐっすり寝てしまったが、初めて大島を訪れた組はかなり熱く語り合ったそうだ。よかった。
19:40 こだまに乗る家さんと別れる。「また絶対大島、行きます。」私たちはのぞみに乗る。
最近、合い言葉は「また、大島に行きたい。」定着しそうだ。