Nobuyuki Takahashi’s blog

解剖台トーク

今日も快晴。朝と晩は幾分涼しくなってきた感があるが、それでも日中は暑い。
ガイドスタッフはこえび隊の末藤さん。心配りのあるガイドは横で見ていても気持ちがいい。ここのところガイドを務める皆さんにも余裕が出てきた。入所者にお話を伺う勉強会を開いたり、経験を重ねることで自分の中に引き出しができてきた感じだ。
脇林さんが集めている古い写真のパネルをギャラリー押し入れから出しておく。森さんの世話人を務める浄土真宗の関係者が見たいとのこと。その他脇林さんの写真はがきのスタンプ押しと補充を行う。
中学生の見学者が興味深く解剖台を見て行く。破損部分の修復を終わって、不思議だが見る人の解剖台への距離感が近くなった気がする。縁があることで中を覗き込むということもあるが、破損部分があまりにも生々しかったので人を遠ざけていたのかもしれない。
15:00 ギャラリーで森さんとお二方の真宗関係者に写真を見てもらっていると副園長さんがやってくる。野村さんもやってくる。「解剖台、修復したんですよ。」と皆で解剖台前に行く。そこへ末藤さんがご案内した10名ほどの来場者がやってくる。私、副園長、森さん、野村さんが解剖台に手を置いてテーブルトークならぬ、解剖台トーク。それを来場者の皆さんは興味深く聞いている。解剖台の説明はいささか私たちでは難しい。やはり入所者自身が体験を交えて語った方が来場者には腑に落ちるだろう。また、一般来場者が入所者と出会い、お話できる意義はさらに大きい。ハンセン病回復者と接した肌合いは心の深部を捉えて放さない。
16:15 官用船を見送る。
泉はろっぽうやきの仕込み作業に没頭している。私が夕食を担当する。
塩で揉んだキュウリに甘酢を加え、かえり(イワシの稚魚の干物)と胡麻で和える。ジャガイモを薄切りにしてハムと炒める。隠し味のショウガと酢がポイントだ。トマトとタマネギのスープで仕上げ。メニューがつまみ系になってしまった。自動的に泉と日本酒を酌み交わすことになる。
簡単にカテゴリーにおさめることができない、今回の取り組み{つながりの家}。アートとアーティストの存在意義を考える上でも今後様々な反響があり、様々な分野の専門家がこの取り組みのことを論じるだろう。そのまた次のムーブメントが生まれる時期、10年、20年後になるだろうか、私たちの活動はようやく位置づけが定まるのかもしれない。誰も取組んだことのない領域に私たちは、いる。