Nobuyuki Takahashi’s blog

人骨と土器

9月6日(月)
今日も蒸し暑い。雨の兆しは全くない。
朝一便の来場者、ガイドスタッフの皆さんを迎え、申し送りをしたあとは福祉室に向かう。次回のGALLERY15の企画展「松展」で展示予定の「墓標の松」出土品を見るためだ。それは福祉室会議室奥の棚に標本を納める木箱に入れて保管されていた。人骨と刀剣。人骨は背骨、頭骨部分、顎の骨と歯、数十点が確認できる。土器も出土している。それらは底部が丸く、破片の断面を見る限り、700度程度の素焼きのままで、古墳時代の土師器に近いものだ。「大島焼」のルーツを示す興味深い資料だ。大島青松園の101年の歴史を越えたスパンで大島を感じることは新鮮であることはもちろんだが、直接つながる歴史ではなくとも、その土壌の上に入所者の皆さんの暮らしがあることを知る大切な視点だと思う。
写真に記録し、標本のサイズをはかっておく。これから自治会を通じてどのように展示するかを相談のうえ進めて行く。
朝、天野が作ってくれた野菜スープにお米を入れてリゾットを作って食べる。食後はおつまみを作る。キュウリを刻み、塩揉みした後は甘酢を加え、かえり(イワシの稚魚の干物)を混ぜて完成。入所者の森川さんら数人の仲間と一杯交わす約束だ。
森川さんには現在展示中の「古いもの 捨てられないもの展」に放送劇同好会、歌舞伎座共楽団の資料を提供いただいている。今日はざっくばらんに語り合い交遊を深めようと思う。
14:00 作ったばかりのおつまみと日本酒を持って不自由者棟の森川さんのお部屋に行く。森川さんは何日も前から今日を楽しみにお酒やおつまみを用意してくれていた。おいしいお酒を酌み交わす。芸術祭の私たちの取り組みについても忌憚ない率直な意見をいただく。
17:30 森川さん宅を後にする。