Nobuyuki Takahashi’s blog

盆栽と大工道具

7:00 入所者の野村さん夫妻が畑仕事にやって来る。大根の苗を一緒に植える。朝日が苗を照らし、輝いている。
9:00 森さん宅で盆栽出品の打ち合わせをする。森さんの盆栽はひと際大きい。樹齢は80年を越えるものもあるそうだが定かではない。亡くなられた入所者から受け継ぎ、あるいは主が全寮協本部に移って代わりに育てているものもあるそうだ。
「古い写真」は入所者の脇林さんが集めている。それらの写真で松が写っているものを選び出し、解説を加えて展示しようと考えている。森さんは幼い頃にこの大島青松園に入所した。そのまま少年舎で生活していた。幼い頃から大島で暮らしていたからか、建物や風景についての記憶は鮮明だ。写っている建物の様子などから大体の撮影時代や撮影場所、カメラアングルがわかる。一方年次と出来事との照合は森川さんが把握している。地図、写真との照合によって、私が聞いてきた入所者の生活の数々のエピソードが場所と時代と結びついて行く。当時を知らなくても人と場所、記憶が次々と合致し、一方向でしかイメージできなかった様々な光景が立体的に私たちの目の前に展開するかのようだ。
10:30 なんと一便で50名乗船券がすべて出払い、来場者でせいしょうは満席。2便も28名、3便はすでに50名満席。来場者数はずっと右肩上がりに増え続けている。。
墓標の松出土品を展示するための展示ケースを目線の高さまで引き上げる台を製作する。その傍ら来場者に解剖台とGALLERY15の解説をする。来場者から素直な感想や意見が寄せられる。取り組みへの興味や期待感が伝わってくる。「アーティストと島とがどのように関わり、アートが生まれているのか興味があった。ここ大島の取り組みは感じるものがあった。」という感想を述べる方があらわれ、私としてもとてもうれしく思った。
ガイドを務めるこえび隊の皆さんは4名体制。他の島と比べて大島の来場者の数は一桁少ないが、ガイドの話を聞きながら島を巡るのはここ大島だけ。ガイド担当は慎重に言葉を選びながら着実な対処が求められる。初めてガイドを担当する時の緊張感は並々ならないものだろう。
展示ケースの台が完成し、実際に置いてみると10センチほど高いようだ。脚を10センチほど切って低くする。
入所者の川上さんがギャラリーの展示を観に来る。私が大工道具を使って作業をしていると「何でもやるんだな。」と感心される。川上さんは豚舎最後の番人だ。(昭和45年頃に排液浄化施設の建設や衛生上の問題で廃止)川上さんから大工道具をいただく。のこぎりには名前が彫り込まれている。亡くなられた入所者の形見であろう。
引き継ぐ、引き受ける。盆栽と大工道具。
20:00 冷蔵庫の中身を整理するように残り物で炊事。なすと鶏肉のカレー風味でパスタとご飯を食べる。キュウリもたくさんいただいているので毎日精出してたべなければ。安長さん直伝のかえりとキュウリの酢の物、カイワレにオリジナルソース(ナンプラーと酢、キムチのもと)をかけて食べる。これが結構美味。

野村ハウスの配線