Nobuyuki Takahashi’s blog

発達センターちよだ ピンクのつなぎ

13:00 私の自家用車にアートプロデュースコース3名、研究室職員鈴木を乗せ、発達センターちよだに向けて出発。
13:45 ちよだ着。午前中は晴れていたが、空気に湿度が出てくる。交通事故で負った怪我のあとがうずく。じきに雨が降るだろう。
やさしい美術スタッフの林、非常勤講師の山口さんとちよだで合流。全員ピンクのつなぎに着替える。総勢7名。ピンクの壁になってしまった。
発達センターちよだは発達障害、知的障害などの障害を持つ地域の子どもたちを受け入れる通園施設だ。発達センターちよだは通園している子どもたちが帰ったあと、15:00から学齢の子どもたちを受け入れる「ディサービスちよだ」を実施、 乗馬や太鼓、そして私たちが参加している「絵画の取り組み」などの様々なメニューがあり、子どもたちがそれぞれ選択している。ほとんどの子どもたちがちよだに通園していたので職員さんとの絆も深い。預けるお母さん方も安心だ。
さて、今回ちよだに来たのは、「絵画の取り組み」に参加し、今後私たちが主導で行う「造形ワークショップ」をどのように行っていくかを検討するためだ。「絵画の取り組み」を選択した子どもたちは小学校1年生5名。男の子3名、女の子2名。全員初めてのご対面だ。昨年までは主に自閉症の子どもたちだったが、今年は知的障害や脳性麻痺を持った子どもたち。これまでのワークショップから方向性の転換が求められる。 ちよだの職員さんと私たちとの顔合わせをし、7月までのスケジュールをフィックスする。
取り組みを行う遊戯室に養生シートを床に敷き、テーブルと椅子、絵の具類や筆類などの画材を設える。今日の取り組みは私たちが準備したものではなく、ちよだ職員さんサイドで考えたもの。先週から始まったばかりなので子どもたちの資質を見ている段階だ。画用紙に水彩絵の具で描画するオーソドックスな取り組みである。
窓の外を見やると傘を目深に差した人が通り過ぎて行く。雨音が聞こえなかったので気がつかなかったが雨が降り出したようだ。
15:00 子どもたちがお母さんに手をひかれ、やってくる。何人かは通園時に顔を合わせたことのある子もいる。お母さん方ともごあいさつ。やさしい美術は通称やさ美で既に知っている方もおられるようだ。「ピンクのつなぎで子どもたちに憶えてもらっています。」
子どもたちはピンクのつなぎ集団がいて、少し緊張気味。でもそこは3〜4年間通園してきたちよだ、子どもたちの表情から安心感と信頼感が感じ取れる。
一緒に歌う。一緒に遊ぶ。一緒におやつを食べる。そして一緒に創る。一連の営みを「一緒に」分かち合う。学生たちは戸惑いつつも子どもたちとの距離を少しずつ縮めていく。
どのような障害を持っているかは私たちはほとんど事前に知らされていない。でも子どもたちと直に接することでその肌合いや子どもたちそれぞれのキャラクターがじわりと伝わってくる。色眼鏡で見るのではなく、体で受けとめる。それが子どもたちに寄り添う一番の近道に思える。ほんとに子どもたちはかわいい!笑顔がかがやいている。初対面からこのような子どもたちの様子が見られるのも、やはりちよだの職員さんが誠心誠意子どもたち、そして保護者の方々と接してこられたからに他ならない。私たちはそのベースに立たせていただいているのだ。
16:00 それぞれのペースで子どもたちが遊戯室に入る。いよいよ、今日の取り組みの時間だ。子どもたち全員を見て行くのではなく、担当を決めて子どもたちに寄り添う。描画を一緒に楽しみながら絵の具への興味、水の感触、にじむ色彩への反応を見る。子どもたちの多くが色の趣向をすでに持っているのを感じる。
「絵画の取り組み」を終えて、後片付けに入る。子どもたちは容器や筆を手洗い場で洗う。どの子も取り組みの流れを理解しているように見受けられる。
片付けが終わった後はお母さん方が迎えにくるまでひたすら子どもたちと遊ぶ。子どもたちとの距離も徐々に縮まり、ほぐれてきた。
17:00 お母さん方が子どもたちを迎えにくる。お帰りのごあいさつをする。
17:30 「ケース」あるいは「ケーススタディー」と呼んでいる、今回の取り組みについての反省点や子どもたちの様子を報告し合い、全員で共有する。学生たちの素直な感想が述べられる。ちよだの職員さんと忌憚のない意見を交わす協働関係を少しずつ築いて行きたい。
18:00 発達センターちよだを発つ。心地よい疲れが学生たちにどっと押し寄せているようだ。慣れて行くことも大切。わくわく、どきどき、感動しながらやっていこうね。