Nobuyuki Takahashi’s blog

妻有ツアー トリエンナーレ準備へ2

18日 7:30起床 あたたかい日差しが空き家「やさしい家」を包む。前回の滞在時にあった雪囲いの板が取り外されて、日差しが遮られることがなく開放感がある。
朝食用にコンビニまで走って食パンとおにぎりを買う。やさしい家に戻ると皆寝袋を抜け出てこたつを囲んでいる。前日の懇親会の残りものと併せてつつましい朝食。

やさしい家でつくしの袴とり

やさしい家でつくしの袴とり

9:05 予定通りホテル宿泊組の乗ったバスがやさしい家に到着。早速やさしい家の内部と外部周辺のリサーチを開始する。試作を現場に置いて検討する者、建物の採寸をする者、一心にメモやスケッチで記録する者、つくしとりに夢中の者…。やさしい家は住まうものを得て、呼吸し始めている、という感じだ。初めてやさしい家に来た学生は「来てみて、実際に見るとわかりますね。」と納得調子。想像でできるところまでやってみることも大事だが、最終的には現場で感じることが何よりも理解の早道だ。
9:30 土曜日の十日町病院に行く。事務長補佐の泉沢さんに待機していただいている。午前中の病院内を知ることも大切だ。平日であれば、待合いが人でごったがえしているところだが、診察がない土曜日は病院全体がひっそりとしている。陽の光や影が関係する作品を提案している学生は午前の光の様子を見ることができて、収穫あり、という表情だ。
その後、デザイン集団でんでんのメンバーを連れて十日町病院からやさしい家へ、そしてやさしい家から十日町駅までの道のりを実際に歩いてみる。駅までは15分程度。途中の道行く人々の様子や民家を横目にルートを確認する。十日町駅から商店街を歩き、バスの待つ越後妻有交流館「キナーレ」へ。途中、地元住民の方々に道を聞きながらのんびりと歩く。ゆったりとした時間がここ妻有の文化を創り出しているのだろう、とても心地が良い。「キナーレ」の中庭に方形の大きな池があるが、大地の芸術祭オープニング時には水が抜かれ、巨大なパーティー会場と化す。やさしい美術皆でオープニングを飾りたいー。今回はでんでんもいるからさぞにぎやかになるだろう。わくわくする。
わくわく、どきどき感を残しつつ、バスに乗り込み昼食、その後温泉「千年の湯」へ。約1時間とっぷりと湯につかる。陽のあるうちから温泉に入るとは贅沢きわまりないという向きもあるが、これもリサーチ。湯の色を様々なものに喩えて遊ぶ。ちなみに千年の湯は椎茸のだし汁の色…。
温泉の後学生全員を空き家に降ろし、スタッフと私で夕食の買い出しに行く。今日は17名全員分のカレーライスをつくる予定だ。3年前の大地の芸術祭参加の時も皆でカレーを食べたのを思い出す。あの時学生だったメンバーも今はスタッフとして活動を支えている。炊飯器も買う。なんと一升炊きを2台。芸術祭会期中はヘビーローテーションは確実。
ひとしきり買い出しをして、やさしい家に戻ると、でんでん10名が車座になってミーティングをしている。各々の意識の高さが一つにまとまっていく空気感が漂っている。
17:30 厨房をスタッフらに任せ、スタッフ赤塚と私でキナーレ横の地場産業振興施設「クロス10」に行く。十日町病院経営課の井沢さんと待ち合わせる。赤塚が企画している足助病院と十日町病院の交流企画「アサガオのお嫁入り」のミーティングをするためだ。足助病院のリハビリテーションで花を咲かせるアサガオを十日町病院でも咲かせるという企画は両病院の連携にまで広がっている。それを象徴的なセレモニーとするために結婚式を行なう。実際には存在しない病院同士の結婚に現実感を出すために赤塚より厳粛な音楽の生演奏を入れる提案をし、それを受けて井沢さんが演奏家にお願いをしてくれていた。「このような一見突拍子のない企画に賛同して演奏していただけるのか。」という心配が漠然とあったが、演奏するという方向で快諾いただく。様々な調整が必要な企画だが、それが一つずつ現実になって行く。皆さんの協力の賜物であるが、赤塚の努力も並みではない。

17人の「いただきます」

17人の「いただきます」

6:30 やさしい家に帰宅。「ただいま」と玄関をくぐると、奥からカレーの香りが風に乗ってくる。スタッフ平松が厨房で腕をふるっている。その姿のチャーミングなこと。リーダー川島がしもべのように働く。なんともほほえましい光景。座敷ではでんでんがミーティングのつづきをしている。うーん、あとはカレーを力いっぱい食べるだけだー。
7:00 17名全員でカレーライスを食す。同じ釜の飯を食うとはこのことだ。「協働」はまずは一緒に食べることから。最高の食卓。まさに家族という感じ。もう、説明不可能。
8:00 食後でんでんはさらにミーティングに入る。ロゴマークを決めて行く上で徹底的にディスカッションをしている。普段は温和なメンバーも熱くなって議論を戦わせている。一方やさしい美術プロジェクトのメンバー同士もやさしい家の展示内容やスケジュールについてディスカッションをする。実際に展示をする現場で議論しているので、検討はすこぶる早く確実に進む。誰も遠慮せずに意見を言う。この感じが、いい。
2:00 ディスカッションも一区切り。全員解散。ホテル宿泊組を玄関で送る。
3:00 就寝
<つづく>

でんでん、ロゴマークデザインを徹底議論

でんでん、ロゴマークデザインを徹底議論