Nobuyuki Takahashi’s blog

大島 海を介して世界とつながる

24日 いつものように名古屋駅に7:15集合。私と泉、井木の3名で瀬戸内大島に行く。やさしい美術プロジェクトは瀬戸内国際芸術祭2010に参加する。昨日、香川県庁に問い合わせたところ、文化庁の助成金が選定されたとのこと。今回からはさっそくその助成金を活動に充てて行くことになる。名古屋駅出発時は快晴、高松は薄曇りだ。大島で一泊するので、当日の夕食、翌日の朝食と昼食を買い出しておく。
11:00 シブヤ大学とNPO法人アーキペラゴの関係者一同と桟橋根元の待合所で集合する。今回の大島行きは私たちのプロジェクトがこれから何を大島で行なってゆくか入所者自治会の皆さんと事務所サイドに提案することと、それに関連してシブヤ大学とアーキペラゴの共催による「ツーリズム」の打ち合わせを行なうためだ。ツーリズムについては後日詳しく報告することにする。
11:10 官用船まつかぜに乗って大島に向かう。
11:25 大島着。さっそく事務所により、新しく赴任された事務長稲田さんにごあいさつする。
総勢9名。職員食堂のおばちゃんにしかられそう…ということで先に食堂に行き人数を知らせたら、12:30ごろなら用意できるとのこと。それまでに必要な打ち合わせをすることにする。
昼食までの間に大島福祉課の職員さんとお話をしたり、面会人宿泊所の手続きを済ませる。
大島を訪問した時に欠かせない挨拶がある。それは島中央部にある納骨堂と風の舞に眠る数千の大島の皆さんに手を合わせてごあいさつ申し上げることだ。今日の訪問者全員で合掌。
12:30 今日は焼き肉定食。男性はご飯がいつも大盛り。がっつりと食べる。
13:00 入所者自治会会議室に向かう。先に事務長稲田さんと福祉課の西嶋さんが着席されていて、自治会長森さんと副会長野村さんが笑顔で迎えてくれる。
私から入所者のお二人と事務のお二人に企画書をわたす。これまでに私は10回ほど大島に通ってきて、入所者の皆さんとお話をしたり、島の端々まで歩き回ったことから、私はすっかり「大島ファン」になった。その気持ちを胸に、アートを通して大島と世界がつながって行く「つながりの家」構想をお話しした。入所者のお二人がうなずきながら、私の話に耳を傾けてくれているのがとてもうれしい。私のプレゼンテーションには入所者の皆さんから学ぶ、ワークショップの構想が含まれている。そこと絡めて地元の高松や日本全国から人々が集まってくるプログラムの必要性が浮かび上がる。「ツーリズム」はまさにその可能性の発端を担うであろう。シブヤ大学とツーリズムの説明と具体的な打ち合わせにはいる。
14:30 打ち合わせの後、図書室を拝見する。正方形30畳ほどの心地よい空間。書庫は多くはないが、部屋の四隅に設えてある棚に整理されている。
図書室前で懇意にさせてもらっている入所者の脇林さんとばったり再会。ご自身が研究しておられる大島霊交会の歴史について話を聞く。当時無秩序と荒廃の一途をたどっていた大島青松園が整備されていったのは多分に霊交会の結束力が作用したからだと言う。脇林さんに「癩院創世」という書籍を読むように勧められる。
15:00 病院内作業療法室の傍らにある陶芸室に向かう。そこで入所者の山本さんと会う。大島の陶土を掘り出し、「大島焼」を近い将来実現したいという相談をする。
16:00 あっというまに最終便の船が出る時間となる。私と泉以外は官用船まつかぜに乗り込んで高松へ。
青松園の福祉課職員さんとお話しする。入所者の皆さんの生活に関わる雑多な用事をこなす職員さんの仕事の熱意がじわりと伝わってくる。
16:15 不自由者棟に行き脇林さんのお宅の扉をノックする。脇林さんは奥さんと食事中だったのでそのまま帰ろうとするが、快くお宅にあげていただき、しばし写真の作品論を交わす。脇林さんは写真にとどまらず文筆にも精を出している。私の提案で、新潟県立十日町病院と「やさしい家」で脇林清写真展を開催する運びとなる。
熱い対話の余韻にひたりながら、脇林さん宅を後にする。
18:30 高松駅前で購入したお弁当を面会人宿泊所で食す。古代米が香ばしくて美味。
今後の大島での展開を泉と話し合う。何度も現地に通うことで、人々との交流が生まれ、それにつれて入手できる情報も豊かになった。国際芸術祭に向けての予感が大きくふくらむ。
20:00 入浴
0:00 就寝
<つづく>