2月13日−21日
ひかりはがき手渡し 石巻・一関・気仙沼

2012年の活動報告

2月13日−2月21日の約1週間にわたり、東日本大震災で甚大な被害のあった宮城県などをまわり、「ひかりはがき」の手渡しを行った。
手渡しのために当地に向かった2人のメンバーによるレポートをここに紹介する。

行程
名古屋→仙台→七ヶ浜→塩釜
塩釜→女川→石巻→塩釜
塩釜→石巻→塩釜
塩釜→一関
一関→気仙沼→一関
一関→猊鼻渓→気仙沼→一関
一関→亘理町→相馬市→仙台→名古屋

「ひかりはがき」手渡し報告
七ヶ浜にて
仮設店舗「佐藤魚屋」/佐川急便の職員さん/七ヶ浜中学校第2グラウンド仮設住宅と集会所に集う皆さん/仮設住宅で暮らす皆さん/「きずな工房」に集う皆さん その他
女川にて
ボランティアスタッフの皆さん/女川町陸上競技場仮設住宅で暮らす皆さん
石巻にて
仮設店舗「金丘衛茶屋」店員の皆さん/石巻立町復興ふれあい商店街「パナックけいてい」の皆さん/「鶴の湯」の皆さん
塩釜にて
亀井邸の皆さん/矢部園の皆さん
一関にて
和食レストラン「松竹」の皆さん
気仙沼にて
気仙沼横丁で海鮮料理のお店を営んでいる皆さん

手渡した時のエピソード
七ヶ浜 仮設住宅入居者Aさん(女性 60代)
・花が好きなので花の絵が描かれた「ひかりはがき」を数枚もらっていただいた。
・お住まいの仮設住宅にあがらせていただき、部屋の隅々を見せてくださった。
・野菜ジュースをごちそうになりながらお話をうかがった。
・現在は三人(娘と婿)で暮らしている。
・避難所生活から現在にいたるまでを切々と語ってくださった。
・今もプランターで花を育てているが、生育が良くないため被災前の時のように庭で育てたい。
・自分の心境等を各地に発信していきたいが、その術がない。もっとみんなに知ってもらいたい。
・仮設にはいってから腰が悪くなった。
・愛犬は仮設にはいってから死んでしまった。
・みんな昼間は集会所に行ったりして元気だけど、夜になって一人になるとさみしくなる。
・なにもかも失ってすごく悲しいけど、その気持ちはもう過ぎてしまった。今はお金の問題が出てきてる。
女川 仮設住宅入居者Bさん(女性 60代)
・高台にある女川の病院のすぐ下で暮らしていた。
・お住まいの仮設住宅にあがらせていただき、コーヒーや茶菓子等をごちそうになった。
・部屋は手作りのものであふれていた。(ポストカード、こたつカバー、ホタテ貝の表札など)
・「もらった絵ハガキ(ひかりはがき)は額縁にいれてかざるよ~」
・「震災が起きて、それまで思いやりがないと思っていた息子が率先して重い荷物を持って高台まで運んでくれたことで、本当は思いやりがある子なんだって気付いた。」
女川 仮設住宅入居者(女性 60代)
・現在一人暮らし
・避難所にはいって体重が7kg減ったが、仮設にはいり7kg太ってしまった。
・お住まいの仮設住宅にあがらせていただき、ごちそうになった。
・本当の孫のように思ってくれて「泊ってていいよ」っとおっしゃった。
・優しく微笑んでいるお地蔵さまの「ひかりはがき」をもらってくださった。
石巻 仮設店舗店員(女性 20代)
・家は流されて、はがき一枚も残らなかった。
・そのため友人の住所や連絡先がわからなくなり、交流が途絶えてしまった人もいる。
・メディア関係者や、ツアー客の心ない言葉に胸を痛めている。
・一年たってようやく「復旧」から「復興」と言えるようになった。

手渡しして感じたこと
集会所などの人が集う場所でひかりはがきを見てもらった時は、「ひかりはがき」を綴じたファイルを交換し合ったり、選んだ「ひかりはがき」をめぐって会話がはずんでいるようだった。
しかしひとたび集う場所から離れ、仮設住宅で暮らす方ひとり一人に「ひかりはがき」を見てもらった時は、「ひかりはがき」そのものが話題になることは少なく、手渡しに訪れた私たちが話し相手になって被災当時の体験やご家族に起きたことなど、その人当人に密接した話をうかがう機会が多かった。
今回の「ひかりはがき」手渡しの旅で特に印象に残ったのは、女川の仮設住宅に住む女性が何度もありがとう、ありがとうと言って抱きしめてくれたこと。本当の孫のように接してくれて、私たちも本当の「おばあちゃん」のように感じられた。
気仙沼の状況を目の当たりにした時はとてもショックだった。
震災から一年たっても電気が復旧しておらず、信号機がとまったままになっていた。
ガラス片がちらばり、コンクリートがはがれたりするので、足の裏からごつごつ感やじゃりじゃり感が伝わってくる。
見渡す限りゆがんだ鉄骨や、木材がちらばっていたので歩くだけでも怖くて足がすくんだ。
「ひかりはがき」は出会った人に常によいタイミングで手渡すことはできないが、しっかりとお話を聞き、押しつけることなく手渡していきたい。
担当:上田愛歌、山川茜