5月30日
勉強会 開催

2010年の活動報告

やさしい美術プロジェクトは大島での取り組み{つながりの家}を実施する。
{つながりの家}とは、大島の声、感情、記憶、文化を大島外に伝えつなげていくしくみ総体をさす。
瀬戸内国際芸術祭2010では、一般来場者を招き、大島の生活や記憶を垣間みる展示を行うGALLERY 15、大島の食材を大島焼の器で楽しむことができるカフェ・シヨル、そのほか、入所者が講師を担当するワークショップ「名人講座」などを開催する。

芸術祭会期中は一般来場者に大島で静かに暮らすハンセン病回復者である入所者の心情を理解してもらい、その上で作品展示やカフェを楽しんでもらうことが前提である。そこで、大島を開き、一般来場者をガイドするガイドスタッフ、カフェを運営するカフェスタッフのボランティアを養成するために、16名の希望者を集め勉強会を開催することにした。

午前中は参加者全員で納骨堂を参拝し、入所者の野村氏の案内で納骨堂内部を拝見した。
その後、ディレクター高橋よりやさしい美術プロジェクトの活動をレクチャーし、大島での取り組みの基盤となる考え方、活動姿勢を解説し、理解を深めた。

午後は入所者の皆さんをお招きして直接お話をうかがい、大島の暮らし、歴史を理解する機会を設けた。入所者の脇林氏が目下収集中の「古い写真」は大島の刷新され続けて失われつつある記憶を呼び覚ませる。勉強会会場としたカフェのテーブルいっぱいにこれらの古い写真を並べ、入所者の心の内に刻まれている大島の記憶をめぐりたくさんのエピソードを語っていただいた。

勉強会終盤では昨日窯出ししたばかりの「大島焼」(大島の土で制作した陶器)のカップでお茶を楽しみ、交流を深めた。カフェは一般来場者と入所者、青松園職員が自然なかたちで関わり合い、心地よい空間を共有するものである。今回の勉強会はカフェをスタートする前のささやかな助走となった。