Nobuyuki Takahashi’s blog

2011年 10月 20日のアーカイブ

あおぞら市 大島にて

2011年 10月 20日

10月10日。ハンセン病療養所大島にてあおぞら市というマルシェ型のイベントを行った。このようなイベントが大島で行われるのは初めてのことだが、何もかも初めてづくし。島外の人々と共催することもそうだ。ゲストに田島征三さんとおおたか静流さんを招き、歌に合わせてライブペインティングをして大いに盛り上げていただいた。
あおぞら市は大島の入所者と周辺地域とがものづくりを通じてやわらかに交流できたら、という想いから始まった。この小さなきっかけが原動力となり、こえび隊が中心に芸術祭実行委員会が積極的に企画運営を進めた。
また同時期に豊島の人々との交流も始まり、今日この機会に豊島の皆さんもあおぞら市にかけつけた。入所者の皆さんは陶芸や七宝焼きなどを出店、高松からは和三盆や張り子のオブジェなどの参加があった。イベント開始から多くの人で賑わい、入所者の皆さんもたくさん訪れた。これまで準備してきたこえび隊の皆さんの目がうるむ。
この感動は身に覚えがある。昨年の芸術祭期間中私が企画した名人講座。入所者が講師となり、写真や陶芸などのワークショップを開いた。島内に子どもたちのはしゃぐ声が響き、笑顔に包まれる場が紡ぎだされた。隔絶されてきた大島で手と手を取り合う情景に熱くこみあげるものがあった。そう、あの時の感覚だ。
あおぞら市にはもう一つ大きな意義がある。それは、遠くから来た私たちではなく、庵治や牟礼、高松などの大島周囲に暮らす地元の人々が自ら動いたことである。近くて遠い周辺地域の人々が大島を支えて行くということがどれほど入所者の皆さんを力づけることか!
大島での取り組み{つながりの家}を立ち上げた2年前に入所者の皆さんと一緒に思い描いたことが少しづつ実現に向かっている。この身震いする様な感覚を、参加した全員が共有できたと思う。
あおぞら市が終わったあと、豊島の皆さんと入所者との懇親会が行われた。そこではサプライズがあった。豊島の自治会長さんが自ら綴った般若心経が野村自治副会長に手渡されたのだ。これまでに無念のうちに亡くなった入所者を弔い、これからの大島の未来を祈念しての心のこもったメッセージだった。
痛みを分かち合い、楽しいことは皆で楽しむ。大島とその外にある見えない壁が溶けて行く。触手の枝葉が相互に紡ぎ合わされつながって行くのを感じる。この場にいられること、関われることの深い喜びがわき上がる。飛び上がりたいぐらいだ!皆さん本当にありがとう。そしておつかれさま。このつながりの輪、大事に育んで行きましょう!