Nobuyuki Takahashi’s blog

Archive for the ‘小牧’ Category

小牧市民病院 新しい作品を

2011年 5月 31日

このところ七ヶ浜町のプロジェクトにかかりっきりになっている面もあるが、実は着々と他の施設も活動を展開している。
今日は授業後に小牧市民病院を訪れた。リーダー古川とスタッフ林も同行。古川は足助病院で研鑽を積んだということもあり、ぜひ今年は小牧市民病院で胸のすくような作品を制作してもらいたいと期待している。
作品のメンテナンス、アンケート回収作業を進める。主に林の仕事だ。メンテナンスをすることで、作品のコンディションが把握できることはもちろんのこと、通りがかった病院利用者から感想が聞けたり、職員さんから意見をいただくこともある。とにかく足繁く通い、こまやかに目配せすることが大切だ。
ふと、大島の入所者野村さんのことを思い浮かべる。野村さんは島の野菜名人だ。野村さんの手にかかればどんな野菜もおいしく育つ。その神髄をたずねると「野菜は、主人の足音を聞いて育つというんよ。」とおっしゃる。野菜が枝葉を伸ばしやがて実を付けるように、私たちも作品をその場所で育んで行く意識を持たなければ、と思う。

小牧市民病院 活動報告

2011年 3月 22日

moca(井口弥香)デザイン&制作のモビール作品の新作

毎年恒例で行っている小牧市民病院での活動報告会。これまで3月上旬にスケジュール調整し、小牧市民病院内の講堂を使ってこの1年間の活動内容を発表してきた。しかし、今年は活動報告会を開催しないことになった。というのも総務課職員さんにこれまで尽力いただいているが、どれほど周知徹底しても人が集まらないのだ。末永院長は必ず出席いただいているが、他の職員にしてみれば、院内のアートプロジェクトは仕事から外れたことになってしまう。私たちの活動が院内のボランティア活動の域を出ないのは、まさにこのことにかかっている。病院に組織的に取り組む仕組みを作り、病院に必要とされる安全管理や患者さんのアメニティーの充実など、仕事として人を置くことができるようでなければ、院内の正式な取り組みとして認知されない。やっていることはいいことなのだけれど、必要に迫られてはいない、曖昧な存在感なので誰も真面でやろうとしない。
一方私たちやさしい美術プロジェクト側はどうか。これも大学の正式なプロジェクトであるならば、大学内の組織構成と連携、評価基軸や評価方法が定められ、年度に限らず長いスパンで取り組まれているのが本来だ。当プロジェクトは現代GPに採択されたが、3年間の大いなる試みは終わり、大学に根ずくに至らなかった。私の力の足りなさ故である。
「臨床するアート」福岡セッションに発表者として参加してきたが、その際大阪市立大学付属病院の山口悦子さんの発表は目を見張る内容だった。山口さんはドクターでありながら、病院内の安全管理を医学、社会心理学などの学問を礎に院内の機構に組み入れた形でアートを実践している。全国でも間違いなく先端を行く活動だ。病院主導で動くアートの活動。

16:00 午前中になんとかまとめあげることができた活動報告書と1年間のアンケート調査の分析結果、今年度作品を設置した部署へのアンケート用紙を総務課の吉田さんに手渡す。その後はスタッフ川島は院内各所に設置したアンケートの収集とメンテナンスにまわる。私は森をつくるおりがみMorigami(もりがみ)のメンテナンスにとりかかる。
地震の被災地を思う。Morigamiを送るのも一策かもしれない。折るという行為。繰り返すこと。自分の時間をしっかり持って集中するには折り紙は最適だ。さらにそれは単なる折り紙ではなくて、複数集まることで森を育んでいくという前向きなイメージも増幅される。

18:30 諸作業を終えてプロジェクトルームに帰ってくる。私はパソコンを起動し、いくつかの連絡事項、頼まれている確認作業をさくさく済ませていく。その後散らかったプロジェクトルームを片付ける。年が明けてから新聞記者さんや研究者の方など何人かこの部屋を訪れているが、その都度気にかかっていた。清掃、整理整頓が行き届かず、とても人を招くことができる状態になかった。
収納し、整理してすっきりとしたところでayakoさんの消しゴム版画作品を板に取り付ける作業を行う。スタッフ川島に差し金の使い方を伝授。
22:00 作業終了。大学を出て一路自宅へ。

小牧市民病院 搬入 天職

2011年 2月 17日

16:00 雨がぱらつくなかで小牧市民病院につく。さほど寒くはなく、湿度があるので春の雨模様といった風情だ。
今回はモリショウコさんの刺繍絵画7点を精神科外来廊下に設置する。額は虹色に着色され、それぞれ記念写真のごとく日常の心温まるシーンが描かれている。布に刺繍糸を縫い付けて線描を施し、必要最小限に着色してある。これまで展示してあった井木宏美の刺繍絵画とはまったく趣も世界観も異なっている。
スタッフ川島と展示作業をしていると、通りがかりに職員さんに声をかけられる。ある看護師さんが「かわいいっ。すてきっ。」を連発。こちらまでうれしくなってくる。
その看護師さんはそこにいるだけで、周りの空気を明るくする人だった。
天職という言葉がしっくりくる。
モリショウコさんの作品は好評。先日搬入した天野入華の作品のコンディションをS6病棟まで見に行く。記録写真を撮影していると病棟の師長さんが私に声をかけてくださる。評判をうかがうと、こちらも好評のようだ。
スタッフ川島が作品のメンテナンスに回っている間に、次年度の作品や展示場所を検討する為に院内全体を歩く。病院サイドにつくっていただいた検討委員会「癒しとやすらぎの環境整備プロジェクト委員会」の元メンバーの看護師さんに久しぶりに再会したりで、充実した時間を過ごす。そうか、小牧もかれこれ7年が過ぎようとしている。

小牧市民病院 搬入 消えた清水

2011年 2月 7日

14:00 小牧市民病院につき、私とスタッフ川島、作者の天野入華がそれぞれ作品を持って院内へ。
午前中は作品を吊り下げるための金具を取り付ける作業を敢行し、搬入にこぎ着けた。S6病棟のディルームに行くとテレビから水戸黄門が放映されている。数人の患者さんやご家族が憩いの時間を過ごしていて、家族的な雰囲気だ。
早速今回天野が制作した作品を壁面に設置する。脳外科の患者さんが入院する病棟。年配の方が多く入院しており、病室ではなくディルームで職員さんの世話を受けながらの食事をしている場所だ。当初はモビールを天井に点在させる計画だったが、落ち着いてディルームで食事をしたり、談笑できるよう配慮した作品を、ということになった。天野は繊細な素材使いのオブジェで定評があるが、それらのオブジェを空間に配置する際に、スケールを含めた空間との関係性に課題があると思った。私は彼女に思い切ってアクリルケースに入れることを提案した。展示台や台座、額に入れることはフレームで切り取ることである。鑑賞者との地平を分断することによって、見せたい対象を外側から注視することを促すのだ。ところが、鑑賞者と同地平、例えば床に置く、壁に設えると先述のフレームで切り取られたのとではスケール感も視線の流れも全く異なってくる。「インスタレーション」についてここでは詳述しないが、天野には空間に設置すること、鑑賞する人々との関係性を取り持つ絶妙な地点を見いだしてほしかった。そこで、アクリルボックスに入れることにチャレンジしてもらうことになった。額装は窓枠だ。こちら側と向こう側という明確な位置関係を意識させる。一方アクリルボックスは密閉されていて手に触れることができない分ボックス内のものに視線がぐっと集中する。素材がデリケートであればあるほど、鑑賞者は想像力を働かせて視覚的に感触を味わおうとする。しかしアクリルボックスを空間に配置しても透明で存在感が希薄なために空間の共有は適度に感じられる。このようなアクリルボックスの効果から彼女の持ち前の細やかな造作が活きると考えたのだ。
展示作業中に病棟の看護師さん、介護士さんが歩行器で歩く患者さんをサポートをしたり、気道切開した患者さんを丁寧にケアしている姿が見られた。ある意味でこの病棟は濃密な生活感を醸し出している。作業をしている私たちに通りがかる患者さんや患者さんのご家族が話しかけてくる。この取り組みをしていて一番感銘を受ける場面だ。この病棟では職員さんも積極的に話しかけてくる。実のところ私たちに構っていられないほど忙しいはずだが、努めて周囲に目配せし、声を掛け合うゆとりを意識的に創りだしている。必要なことを自然な成り行きで実行されているのがすばらしい。
ある職員さんとお話しする。その方は私の勤める名古屋造形大学の近隣、桃花台に暮らしているそうだ。本学の周辺は田畑に囲まれている。そこから2、3キロ離れると桃花台や高蔵寺などのニュータウンが現れる。私がお話しした職員さんはニュータウンとして開発される前に嫁いでこられたそうだ。住んでおられる家の傍らにはとめどなく清水がわき、自然の摂理を感じる日々だったそうだが、土地の掘削や舗装などの開発が進むにつれ清水は枯れてしまったそうだ。「便利で快適を求めて、大事なものを失っているんですね。」と私が話しかけると、その方は「便利は皆ゴミなのよ。便利なものはゴミになるでしょ。」とおっしゃった。
ここは都市部の急性期病院の病棟。そこでこんな話ができたのがとても新鮮だ。こうした出会いの連続が私たちの取り組みとその場所との結びつきを強くしていく。
17:30 天野の作品の設置作業を終えて、撤収。院内の食事時間を避けての搬入は首尾よく行うことができた。
スタッフ川島はその間院内の作品のメンテナンスとアンケートボックスの回収作業を行う。両手に道具類を携えて病院の階段を降りていくと、階段の明かり窓に切り取られた小牧の町並みが目に入ってきた。屋根と壁が織りなす幾何学的なリズムが美しい。まるでミニチュアのようだ。その窓が額縁のように感じられ、つい今しがた設置してきた作品とイメージが重なる。

小牧市民病院 研究会

2010年 12月 13日

5:30 名古屋駅着。自宅に戻りコーヒーを飲んだあと、すぐに出勤。
16:00 授業を済ませ、スタッフ川島と大学をあとにする。
今日は小牧市民病院にて研究会を開催、作品プラン2点を検討、決定する大事な会合となる。
先週綿密に打ち合わせたうえで、試作品も充実している。S6病棟のディルームに展示する作品プラン「green books」は本型のオブジェ。今年卒業した元メンバーの天野に制作を依頼した。精神科前の廊下についてはデザイナーモリショウコさんの家族のスナップ写真を模した絵画作品を連作で展示予定。プレゼンテーションしたところ、どちらも作品の内容としては好評だ。S6病棟に関しては脳外科にかかる患者さんが多いことから、誤ってさわったり、破損した場合の安全性についてはさらに検討が必要だということになった。大旨了解をいただき、これから本制作にとりかかる。
研究会のあとはスタッフ川島と二人で院内を隅々まで歩く。作品のほこり取りをしながら作品のコンディションをチェックしていく。こまめに作品の状態を把握することにより、安全性についての精度もあがるし、時には通りがかる職員さんや患者さんから感想を聞くことができる。
一通り作業を終え、帰路につく。

小牧 再搬入ラーメン

2010年 11月 30日

授業後、小牧市民病院へ。スタッフ川島がレンタカーを借りてくる。
鷲見広孝くんが制作した作品「その下にあるもの」の修復が終わり、再展示に向かう。車中でNHKの西村さんから電話。一度病院に入ってしまうと電話がとれなくなるので、ようやくタイミングがあってお話しできた。
17:30 小牧市民病院着。パネル状になっている作品を丁寧に降ろす。
総務課吉田さんに顔を出す。運営体制、組織的な体力など問題点がたくさん浮上した中で来年度の取り組みをどうしたら良いか正直悩みに悩んだ。でも前回のメンテナンス作業の時に原点に立ち返ることができ、何が何でもやる 覚悟ができた。何事も最後は私一人で決断する。始めた人間はそういうものだ。「来年も同様に取り組み、がんばります!」
川島と作品の搬入作業。作品が設置されていた廊下の窓ガラスはぽっかりと穴があいたようだ。作品が吊るされていた場所以外にはブラインドがさがっている。
作品の設置が終わると廊下の空白が埋められたようで、違和感がない。作品が病院の環境の一部になっていることを強く感じる。作者の鷲見くんにとってもこれまで制作した作品のなかで重要な位置を占めるものとなっているはずだ。
また1つ、すばらしい瞬間に立ち会えた。
搬入ラーメンがうまいっ。な、川島。

再搬入作業の仕上げをするスタッフ川島

虹の軌跡は私たちの足下、大地につながっていく

寝静まった病院に虹がかかる

morigamiに書かれたメッセージ1

morigamiのメンテナンスの時に見つけたメッセージ2

ぉあたぁっ!!

2010年 11月 16日

私のヒーローはあしたの「ジョー」こと矢吹丈、それとドラゴンこと「ブルース・リー」。
ぉあたぁっ! とはブルース・リーの気合いの声だ。ギターヒーローはやっぱりジミーヘンドリクス。B.Bキング…
まぁ、これぐらいにして―。

作品の埃を拭い取る

午前中は企画書のブラッシュアップ、メールやファックスの返事を出したり、対応に追われる。
13:00 1、2年次の授業。3年次の産学共同MOZOディスプレイプロジェクトの対応。
16:00 スタッフ川島とメンバー森を自家用車に乗せて小牧市民病院へ。
東5病棟のデイルームの作品プランを検討する。
小牧市民病院での取り組みは3年前までは院内に独自の検討委員会を編成していただき、各部署のドクターや看護師、検査技師ら20名ほどの病院職員と私たちやさしい美術プロジェクトとで毎月研究会を開いていた。小牧市民病院は500床を越える典型的な急性期病院だ。職員の皆さんは研究会で顔を合わせても常に顔面蒼白、緊張感がはりつめている。予断のゆるさぬ状況の患者さんを多くを受け入れている病院ならではの空気感だ。公立の急性期病院で7年間も協働関係を継続し、運営のための委託料を得ながら進めてこられたのは奇蹟に近いと振り返ってみて思う。他の地域で行われている同様の病院との協働プロジェクトと比較しても稀なケースである。
4年続いた委員会による検討は時間的にも体力的にも委員会に所属する職員さんを圧迫していた。また、作品の設置場所の検討となると、関係部署の意見や検討項目の吸い上げは調整役となる委員に負担が集中し、意見の吸い上げ自体も困難という状況だった。
職員を対象にアンケートをとってみて判明したが、本取り組みが病院の正式な委託事業であれ、現場サイドの職員全員が私たちのプロジェクトを歓迎している訳ではない。日々の仕事で精一杯なのだ。それは、確かにそうだ。職員の皆さんは「命」をあずかっているのである。そこに飛び込んでいき、アートの実践を行うということ自体、本当に意義があるのだろうか、そんな疑問を持ったことも一度や二度ではない。そうして揺さぶられるたびに私は病棟に行き病院利用者の皆さんの顔を見ながらゆっくりと歩いてまわった。手術の跡をおさえながら点滴棒片手に歩く人。ステレッチャーに乗せられた人に声をかけながら足早に検査室にはいる人、熱冷ましシートをべたべたに貼られ泣き叫ぶ赤ちゃんとそのお母さん…。私が関わっていることが何なのか、向き合うべきことは何か、自らに問う。そして私の中にある「きっと何かできるはずだ。」という気持ちに火が着くのだ。もどるべき原点はそこなのである。
3年前からは当年の担当部署の職員と直接意見交換、検討を重ねながら作品提供を行う体制に移行した。
前置きは長くなったが、今日は東5病棟の看護師さんに時間をとっていただいて作品検討を行った。東5病棟は泌尿器科にかかる患者さんが多い病棟だ。男性が9割をしめるという。試作品を見せたところ、快諾をいただいた。あとは現場で微調整をしていくことになる。
作品検討ののち、現在展示中のすべての作品を点検する。ここ最近時間に余裕がなく、断片的にしか実施できていなかった作品メンテナンスを粛々と進める。
作品の埃を取り払いながら一点一点向き合う。その度に数々の研究会での議論が昨日のことのように思い出される。そうだ、私はここにあるすべての作品に全力で関わってきたし、立ち会ってきたのだ。そこに一番ふさわしいかたちで存在感を放っている作品たち。その声が私を奮い立たせる。
(私にもっとパワーをください!きっとやりとげますから。)

ステーの矯正作業

20:00 スタッフ川島とプロジェクトルームに戻って来る。明日搬入する「えんがわ画廊」の準備を進める。廊下表示灯の内部の固定金具を流用してステーを取り付け、その先に半円形の縁が取付けられている。この縁の部分が小さな小さなギャラリースペースとなっている。ステー部分はアルミの板になっており、この2、3年の間に曲がり、歪んでしまっている。それらのゆがみを矯正する作業にとりかかる。金属加工の経験がほとんど皆無のスタッフ川島には残念ながら任せられない。川島に「アルミと鉄の固さや感触の違いってわかる?」と聞いたところ、「やったことがないのでわかりません。」とのこと。理屈でなく身体で覚えるものだ。体得といったらよいか。職人的な仕事から遠ざかる時流に、必要な場面もあることを知っておいてほしい。アルミの板材にどれほどの力を加えて歪みをとっていくか、金属特有の跳ね返り分も計算して力を加えていく。アルミは曲げ加工に弱いため、極端に力がかけられない。一度折れるまで何度も曲げてみるとその特徴はよくわかるが、今日はその時間もない。
21:00 作業終了。川島が固定部分の増締めを手伝ってくれたおかげで手早く完成することができた。おつかれさま。あー明日が楽しみ。メンバーの古川、小川が今頃作品の仕上げにとりかかっているだろう。
ぉあたぁぁっ!!

修復

2010年 11月 15日

濃い色の和紙部分が修復を加えたところ

10:00 学内を歩いていたら、一昨年前まで私の運営するコースの研究室職員をしていた鷲見くんに会う。今日、明日をかけて、小牧市民病院廊下に設置した作品「その下にあるもの」の修復作業に来てくれている。
作品「その下にあるもの」は小牧市民病院廊下の窓ガラスいっぱいのサイズでパネル状に制作されたもの。そのパネルが窓枠にはまり廊下の一面を覆う。ただ覆うだけではない。パネルの素材は半透明になっていて、全面に直径10センチほどの穴が穿たれている。そこに特殊な和紙がサンドイッチされている。自然光は浸透膜状の作品を通り抜け、あたかも外気を呼吸しているかのようだ。
さらに工夫が施されている。別の棟からその廊下を見ると、1階と2階のパネルがつながってイメージされていて、各穴に差し込まれた和紙がドットの集合を成し、「虹」のイメージを構成している。その廊下を通る時に感じる光と遠くから見たダイナミックな光景がこの作品の最大の魅力だ。
残念ながら、この和紙の部分に穴を開けるいたずらが繰り返され、かれこれ3度目の修復作業となった。
16:00 借りたアトリエで作業をしている鷲見くんのもとへ。作業は思いのほかはかどったようで、今日で修復作業完成。鷲見くんお疲れさまでした。
和紙が経年変化していて、修復した部分と初期に制作した部分との彩度の落差が気にかかるところだ。今回が最後の修復作業となるだろう。
17:30 教授会
20:00 覚王山で大島参加のアーティスト泉と井木に会う。今後の大島について話し合う。

小牧 試作検討モビールと室内装飾

2010年 11月 1日

芸術祭閉幕から一夜明けた朝

せいしょうのレーダー画像

8:30 大島発高松行きの官用船せいしょうに乗船。芸術祭閉幕から一夜明け、平常通りの大島は静まり返っている。泉、井木、張はあと一週大島にのこり、ろっぽうやきを入所者むけにふるまうことにした。
私は大島から直接大学へ向かう。午後授業を担当するため、急いで名古屋にもどらなければならないが、一本電車を逃してしまう。15分ほど遅刻してしまう計算だ。
13:15 大学着。さっそく1、2年次の修了制作展のミーティングに。
この2、3週を使ってみっちりとディスカッションを繰り返してきた。学生らはエレベーターと階段を企画の場所に選び、特にエレベーターの持っている潜在的な可能性として乗り降り、ON-OFF、閉鎖空間-開かれた空間についての考察に議論は広がっている。それらの物理的側面と心理的側面がバーチャルの世界と現実世界と対比して見えてきて、なかなか面白い展開になってきた。彼ら彼女らのなかでは、エレベーターを考察することが思わぬ気づきにつながっているようだ。現在の自分たちをとりまくマトリックスについて単に享受するものに終わらない何かに化けようとしている、といったら良いか。

小牧市民病院にでかける

16:30 授業後、スタッフ川島の自家用車に乗って小牧市民病院へ。道中、制作の依頼を持ちかけたやさしい美術メンバーで卒業生の天野を拾う。
17:30 小牧市民病院に着き南6病棟に向かう。ここは脳外科の患者さんが入院している病棟だ。デイルームを装飾するプランを提案中だが、他の病棟とは異なった配慮が必要で、作品を展示するには難易度の高い場所だ。脳外科の患者さんはデイルームで食事をとる。看護師さんが目を配り、家庭的な雰囲気を創り出し、丸テーブルについて食卓を囲む。担当の看護師さんから私たちに言い渡されていることは、「食事をしている患者さんが食事に集中できるようにしてほしい。」ということ。この時点でモビールという選択肢はなくなった。ぼんやりと空間に漂うモビール作品を眺めていたのでは、患者さんは食事に集中できないのである。今回は何気ない空間装飾によって空間のやわらかさを演出することにしている。作品が主張せず、いつもの空間をほんのりと変える。現場で制作の打ち合わせを進めていく。食事の様子をみることができたのでプランを考える上で参考になった。
一昨年から継続している「森をつくる折り紙Morigami(もりがみ)」のメンテナンスをする。紅葉バージョンの折り紙を補充し、緑バージョンを少しばかり間引く。こうした繰り返しでMorigamiの山は紅葉へと移行していく。
時間がかかる。おなかが空いたので川島とドライブスルーでファーストフードにかぶりつく。現場仕事で幾度となく歴任のスタッフらと車中でハンバーガーを食べた。この感じ、なつかしい―。
さて、小牧市民病院に戻り、試作品検討を続ける。
南4病棟には昨年までスタッフを担当していたデザイナー井口さんの作品展示を予定している。南4病棟は産婦人科の患者さんが入院している。おなかの大きい人、赤ちゃんをだっこしている人の姿を見かける。病院内ではめずらしく、明るさが要求される場所だ。脚立にのぼり井口さんの試作品を実際に天井から下げてみる。点滴棒にかからない高さを確保しつつも少しボリュームを持たせた作品がこの場所に合うようだ。色彩に関しては全面的に井口さんを信頼し、任せることにしている。
面会時間を過ぎ、病棟の照明は暗く落とされる。看護師さんは作業する私たちに気を使ってディルームの照明は点灯したままにしてくれた。
21:30 所々のメンテナンス等を済ませると時間はどんどん経ってしまう。まだいくつか仕事を残しているが、病院に迷惑をかけられないので、今日のところは撤収する。
23:30 自宅に到着。さらに書類作成の仕事をする。

新しい絵はがきワークショップキット!!

小牧市民病院 病棟へモビールを

2010年 10月 19日

16:00 授業が終わるも立て続けに学生からの相談があり、あっという間に16:30。あわてて車に乗り込み小牧市民病院へ向かう。
精神科前の廊下に展示する作品の打ち合わせのため、スタッフ川島は16:00には小牧市民病院入りしているはずだ。今年制作をお願いしている森さんには以前より絵本と絵本から展開したイラストレーションを制作いただいた。絵の佇まいは緻密だが、森さんの描く子どもや動物はふんわりと柔らかい印象だ。
17:00 小牧市民病院に到着。さっそく待ち合わせの場所、地下の食堂に行く。川島と森さんが中央のテーブルについている。遅刻の失礼をお詫びしてさっそく打ち合わせにはいる。今回は布と刺繍で制作する作品になりそうだ。現場のサイズや作品の概要はこちらから連絡することにした。
17:30 東棟4階の看護師さんと総務課の吉田さんに来ていただき、研究会を始める。モビール作品の大まかな提案は了解いただいた。患者さんから見た印象がどのようなものになるか、相談を重ねた。やはり現場で実際に作品を設置してみて判断することもあるだろう。
研究会のあとは今展示している作品のコンディションをみて必要に応じてメンテナンスを行う。化学療法室に絵画の作品を展示する。化学療法室はがんの患者さんが抗がん剤の投与を受ける場所だ。いつも総務課の吉田さんに患者さんがいないことが確認されたら展示作業を始めるようにしている。
化学療法室の廊下は清潔感があるが、温度が低く感じられるほどに冷たい印象が拭えない。その廊下に作品の展示によって差し色をするように展示していく。じわりとその空間の温度が上昇する。気のせいではないと思う。
20:30 小牧市民病院を出る。
川島と二人で搬入ラーメンを食べにいく。へとへとの身体が潤っていく。