Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 6月のアーカイブ

妻有アートトリエンナーレ準備 28日

2009年 6月 28日

えんがわ画廊 吉田知古の作品

えんがわ画廊 吉田知古の作品

28日
6:00 赤塚と手伝いの泉がアサガオの水やりと制作に出かける。
9:30 病院に行き、昨日展示を終えた川島の映像作品「Color of water」の最終確認、えんがわ画廊の展示替えの確認、アサガオの植栽の様子を見に行く。赤塚のアサガオの作業が恐ろしく進んでいない。事前の実験と経 験が少ないためか、大きな軌道修正も必要になりそうだ。川島の作品は厳しく追及したためか、良いコンディションに近づいている。今後の展開も期待できそう だ。えんがわ画廊は患者さんの意見で部分的に撤去することになったが、これも病院での展示ではいつでもあり得ること。受けとめて次につないで行こう。
午後は浅野の作業に指示を出しながら、奥8ギャラリーの整備作業を継続。他の作業進行に気を配りながらの作業、思ったようにはかどらない。イメージの三分の一程度だ。
加藤くんからwebカメラによるライブ映像の配信について一応完成の報告を受ける。Morigamiカメラと名付けた、ライブ映像は、ネットワークにさえ つながっていれば、世界中ど

十日町病院屋上にて。植栽作業は難航

十日町病院屋上にて。植栽作業は難航

こでもMorigamiの成長過程を見ることができる。発案はできても、それを実現するには技術と経験、そしてその意図をくみ 取って最後までやり遂げるパワーが必要だ。加藤くんの作業する背中を見て、学生たちも大いに刺激を受けたに違いない。ちなみに加藤くんは3年前まで名古屋 造形大学の情報デザインコースで助手をつとめていた。
赤塚のアサガオの植栽について私から変更を求める。構造上の問題をクリヤーしない限り、結局は管理する病院の方に迷惑をかけてしまう。ここでも加藤くんと井口ペアで見事に赤塚をフォローアップ。
16:30 一通りの作業を終え、やさしい家を後にする。加藤くんを十日町駅までおくる。加藤くん、感謝。
マニアックしりとりをしながら帰路につく。春日井駅に23時近くに着く。これ以上遅くなるのは厳禁。皆帰宅できなくなる。
まだまだ、しなければならない作業を残し、帰ってきた今回の妻有行き。さらに2回は行かないとオープンには間に合わないだろう。気合いが必要だ!

病棟から見たやさしい家。真ん中の茶色い家です。

病棟から見たやさしい家。真ん中の茶色い家です。

妻有アートトリエンナーレ準備 27日

2009年 6月 27日

作品 こんにちは、妻有。はすでに始まっている。

作品 こんにちは、妻有。はすでに始まっている。

27日
7:00 起床。加藤くんは就寝時と同じ位置で作業中。徹夜仕事になったようだ。
朝食を済ませ、ミーティングを行う。個別の予定を完了して行けば問題ないようだ。私は奥8ギャラリーの整備作業をする予定だ。
10:00になりホームセンターに材料を買い出しに行く。赤塚の「アサガオのお嫁入り」のための足助アサガオ用土やプランター等で一回車が満杯になり、病 院まで荷下ろしに行く。その間、メンバー浅野に木材の裁断と材料のリサーチを頼んでおく。ホームセンターには明らかに芸術祭関係者と思われる輩と出会う。 作品材料などを買い出しにきているのだろう。皆引き締まった表情をしている。
結局午前いっぱい買い出しで時間が過ぎてしまった。食後、私はいよいよ奥8ギャラリーの整備にとりかかる。芸術祭スタート時にはMorigami園と題し て、奥8ギャラリーと名付けた奥八畳間の床一面におりがみの木を植えて森を育む参加型プログラムを予定している。まずは畳をはがす作業。畳は最近のスタイ ロフォームを使った簡易的なものではなく、藁

床の下地の工事。

床の下地の工事。

とイグサを使った本格的な畳。ずっしりと重く、男性でも運ぶのはきつい。畳をはがしてみて驚く。なんと囲炉裏 の跡が出てきた。しかもほかの床板面より2センチほど飛び出している。この上にコンパネを敷き、折り紙を植えて行くのだが、フラットな面を出すためには、 この囲炉裏部分だけ周囲のレベルを底上げしなければならない。さて、作業するにも木材がない。またホームセンターに買い出しだ。
猛烈な勢いで床板に桟を打ち付ける。こうした作業は慣れている。何事も経験しておけば、少々の問題に動じることはない。その作業の間、浅野の作品取り付け部分の大工仕事を教える。慣れないながらも一生懸命。よしよし。
あっという間に夜。スタッフ井口に炊事をたのむ。病院作業組も病院から作業を終えて帰ってくる。皆汗でべたべただ。
食後は全員で温泉に行く。その前に十日町病院の事務長補佐である泉沢さんから教えられた、蛍生息地に向かう。幸い、温泉の近くにあり、ついでに寄るには都合が良い。
街灯のない山にさしかかる頃、何台かの車が停まってハザードをたいている。そう、蛍がそれに呼応して明滅するのだ。すぐに傍らに車を停め、外に出る。

蛍の飛跡。見えますか?

蛍の飛跡。見えますか?

ものすごい数の蛍がゆったりとしたリズムで明滅している。暗闇に浮かぶ光の点は非日常的な距離感を生む。まるで宇宙空間を漂っているようだ。これが、例 の、蛍かー。先日お会いした著名なアーティスト宮島達男氏も絶賛していた蛍。宮島さんの作品に通じるものがある。昆虫の営みに人の想像が重なる。じんと滲 みてくるあたたかさを持つ光…。
温泉で汗を流し、やさしい家に戻る。私と川島でやさしい家2階の南側窓にプロジェクション用スクリーンを貼り、プロジェクターで実際に上映してみる。この 映像は十日町病院の病棟からも見ることができる。家が発光しているようで美しい。良い効果が望めそうだ。加藤くんと井口はさらに修正が必要なサーバーシス テムの作業を引き続き行う。後は任せることにする。
2:30 就寝。

妻有アートトリエンナーレ準備 26日

2009年 6月 26日

足助アサガオ、水やり中の赤塚

足助アサガオ、水やり中の赤塚

26日
10人乗りのワゴン車に乗り込み、新潟県妻有地域に向けて出発。
7名のやさしい美術精鋭部隊は今回、展示のための下準備を遂行する。
14:30 やさしい家に到着。十日町病院職員さんと今後の作品搬入スケジュールを確認し合う。何しろ展示形式も作品展示場所も院内隅々に行き渡る計画だ、綿密な確認作業が必要不可欠である。病院搬入チームと、空き家整備チームに分かれる。トリエンナーレに向けて後がない。作品設置、準備は着実に行わなければならない。
あっと言う間に夕方になる。スタッフ井口は初めて妻有に来た。道中の風景がすでに印象に残った模様。
井口を中心に炊事。あんかけ肉団子はめちゃくちゃうまいっ。
食後学生たちは温泉に向かう。私と井口は、サーバーの整備のため東京からわざわざやってくるfagas加藤くんを駅で待つことにする。
21:30 加藤くん十日町駅に到着。やさしい家までは徒歩で10分ほど。加藤くんは到着して食事を済ませ、すぐにサーバー設置作業にとりかかる。プロの身のこなしが頼もしい。
2:00 就寝

井口厨房長作 肉団子。

井口厨房長作 肉団子。

足助病院とのバーベキュー大会

2009年 6月 22日

とにかく焼く。そんで、とにかく食べる。

とにかく焼く。そんで、とにかく食べる。

授業後に車を走らせ足助病院のある香嵐渓へ。
今日は毎年恒例の足助病院看護師さんたちとのバーベキュー大会だ。
白衣にマスクの看護師さんも多いので、私服だとだれかわからないこともある。こうした打ち解けた場では、研究会で聞くことの無いもっと生な現場の声を聞くことができる。もちろん、仕事ぬきの世間話も大歓迎。
早川院長が院内でとりくむ園芸農園で生ったキュウリを持参。美味しくいただく。歯ごたえ、濃厚な風味は最高。

妻有トリエンナーレ準備 光ファイバー

2009年 6月 20日

一升のおにぎり。お米がぴかぴか光っている。

一升のおにぎり。お米がぴかぴか光っている。

朝6:00には女性の何人かが起きて朝食の準備を始める。私は7時ごろまでごろごろとしていた。
8:00 皆で握ったおにぎりをいただく。一升炊いてこの人数を賄うのにぴったりだったようだ。
9:00 病院での作品メンテナンス、採寸、現地調査に出かけるメンバーと地図やポスターなどの広報物を地域の要所に貼り出すためのリサーチをする者、やさしい家のバナーの試作検討など、各自で進める。私はバナーを掛けるための造作をしていた。
10:00 NTTの委託業者が来る。いよいよ光ファイバーがこのやさしい家に引かれる。webカメラによるリアルタイム映像の配信を実験的に行なうためだ。新しいホームページで見られるようになる。乞うご期待!
昼食は各自とる。私はやさしい家近くのうどん屋さんでへぎそばをいただく。
14:00 パフォーマンス、イベント、ワークショップの担当者会議。日程の調整とノウハウの共有が主な目的だ。学生同士が自主的に集まって真剣に議論している。私は横で聞きながらやさしい家の様々な場所を採寸して次回の準備に備える。
15:30 片付け、掃除を全員で行なう。これもまた見事。協力体制は完璧だ。
16:00 早くバスに乗り込んだご褒美にクロス10に寄ってお土産を買う。私は羊羹を実家と私の家族に購入。
21:30 大学着。荷物を降ろし、各自帰路につく。

妻有トリエンナーレ準備 すごい時間制限

2009年 6月 19日

8:00 春日井駅前集合。チャーターしたバスとスタッフ赤塚がいち早く待機している。
大学に寄り、機材、道具、試作品等を積み込む。運転手さんは妻有ツアー二度目の担当。慣れている。
14:30空き家「やさしい家」に到着。研究会まで時間があるので各自研究会の準備。てきばきとした動きが気持ちいい。

himmeliの試作を下から見たところ

himmeliの試作を下から見たところ

今日は15:30からとちょっと早めの研究会開始。というのも、今回のツアーメンバーが17名と多く、やさしい家の家庭風呂ではとても間に合わないので、恒例の懇親会の前に観光交流館キナーレのお風呂に入る時間をとったためだ。とはいえ、作品の提案、検討項目はべらぼうに多い。それでも懇親会は開く。魂と魂の交流だからね。
プレゼンテーション一人当たりの発表時間は3〜5分程度。それでも皆よく簡潔に発表している。デザイン集団でんでんも場慣れしてきたのか、プレゼンテーションのスキルが確実にアップしている。おそるべしでんでん。
パフォーマンスの実演、試作品を見ての検討はシビアにならざるを得ない。着実にそして慎重に検討は進められて行く。
研究会の後は展示場所の確認と現場での検討に入る。現場に作品をあてがい、実際にどのような問題点があるのかを探る作業だ。作品と展示場所の関係はとてもデリケートだ。空間的かつ造形的なセンスと、病院内のどの場所にはどのような症状の人がいるのかといった、現場の空気を読むセンスとが必要となる。
よくもまあこの限られた時間でやったものだ。検討項目のすべてを終えて、病院を後にする。事前の質問状や検討項目の確認、書面での展示場所の確認等の準備が効いている。
18:00 観光交流館キナーレの温泉「明石の湯」につかる。時間の余裕が無い割りに、リラックスできた。
19:00 約束通り懇親会の会場に到着。後は酔っぱらって寝るだけ。いつものおいしい料理にお酒でお腹いっぱいになる。脳外科医でやさしい美術プロジェクト委員長の川崎先生とこの夏に蛍を見に行く約束をする。川崎先生曰く「一生のうちであれほどの数の蛍を見ることはおそらくこの先ないだろう。」とのこと。子どもたち、奥さんを是非とも連れて行きたいー。

下膳車の広報ツールの検討

下膳車の広報ツールの検討

パフォーマンスの実演

パフォーマンスの実演

みぢかなやさしい美術

2009年 6月 17日

普段、私たちは病院で日々を過ごしている人々の顔を見ながら、制作、企画を行なっている。それが、現場でつくる、ということだ。
自分に近しい人にもやさしい美術。そして自分を奮い立たせるための表現。
祈りにも似たその営み。

三人で折った森をつくるおりがみMorigami(もりがみ)

三人で折った森をつくるおりがみMorigami(もりがみ)

今日、ベッドサイドに持参した絵はがき

今日、ベッドサイドに持参した絵はがき

モビールミーティング

2009年 6月 16日

カフェでいただいた、コーヒーゼリーはめちゃうま。

カフェでいただいた、コーヒーゼリーはめちゃうま。

小牧市民病院の昨年度からの研究に病室で個々のベッド上の天井空間を演出する「モビール」プランがある。もっとも入院されている方々の近くに作品を展示することになるのと、まさに臨床のアート・デザインであるが故、そのテーマの重さ、意義の深さを日々感じているところだ。
さて、今日は名古屋大学のとあるカフェにてそのモビール制作についてのミーティングを行なった。とはいえ、かたいものではなく、おいしいお茶を楽しんでのリラックスしたミーティング。今回デザインをお願いしている二方ともデザインの経験も豊富だし、この企画のねらいも充分に理解していただいている。それが前提だから、とてもスムーズに話が進む。
色、かたち、質感、動き。完成度の高い作品を、まずは病室へ。

入れ子状の浸透膜

2009年 6月 15日

朝日を浴びる木々の葉裏から

朝日を浴びる木々の葉裏から

私たちの世代の感覚だろうか。時折、この世界は厚みのない表面でくるまれた実体のないものと感じることがある。映画マトリックスのような数学的流動の現象とは少し趣が違うが、表面を隈無く嘗め回して、世界のことがすべてわかった気になってしまう。何についても言えることだが、わかりきった表層を突き破るような意識が深い理解や深い認識につながる。
「観念を忘れる」「宇宙から初めてこの地球に降り立った時に見た世界。」が私の遭遇してみたい体験だ。

青いインク 平松里奈個展

2009年 6月 13日

大阪に向かう車窓にて

大阪に向かう車窓にて

午前中仕事を終わらせ、午後は大阪に出る。
スタッフ平松から個展の案内状をもらった。万年筆の青いインクでお知らせの言葉が書かれている。何か、いつもと違う空気がダイレクトメールから漂っている大阪のアーティスト笹岡敬氏が中心になって運営している自主運営ギャラリーCAS(キャズ)で平松里奈(アーティスト名:伊東里奈)が個展を開いているのだ。
16:00 大阪難波に着く。個展会場は難波駅から歩いて10分ほど、とてもアクセスが良い。新しいビルディングが立ち並ぶ界隈で古い部類の建物、Air1963の3階にCASはある。
レトロな木製の扉を開けると、目の前にギャラリースペース、左手奥にオフィス空間が現れる。笹岡さんがちょうどオフィスにいて軽く挨拶する。なんとオフィスには名古屋のある若手アーティストと知人キュレーターがいてびっくり。ちょうど打ち合わせていたところに居合わせたようだ。名古屋人密度がなぜか高いこの日。
平松の作品は大きく2つの構成になっていた。壁面のドローイング、そしてギャラリー空間に前からあったかのようなサイトスペシフィックな設え。特にドローイングはこれまでのインスタレーションという形式にこだわらず、率直な生(性)の在り様を表現しているように感じた。いや、むしろ妄想と現実が入り交じったどろどろとした体液のような感触すら感じる。しかしながらドローイングの鉛筆の線は全く淀みなく、気持ちがいいほどすっきりと引かれている。これからの新しい展開、あるいは人生の転機をも想像させる展示で印象深かった。
個展会場を後にして、難波から心斎橋方面に30分ほど散歩する。大阪の町並みはアジア、ことのほか韓国を連想するのは私だけだろうか。

道頓堀のとあるラーメン店にて

道頓堀のとあるラーメン店にて