Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 6月 7日のアーカイブ

足助アサガオのお嫁入り 感動の結婚式

2009年 6月 7日

ポスターを制作する二人

ポスターを制作する二人

前日の酔っぱらい大会とは裏腹に意外とすっきりとした朝。
4:00にはメンバー竹中と浅野が起床。続いて6:00には企画者赤塚が起床。
浅野が急遽依頼された病院エントランスのポスターを描き始める。竹中も手伝う。
リーダー川島は朝食用のパンを切る。懇親会の残りをいただいてきたので、朝からサザエや白身魚、山菜を食す。二日酔いは奇跡的に一人もいない。
8:00 赤塚は一足先にやさしい家を出る。花嫁代理こと足助病院リハビリテーションの鈴木さんの着物の着付けに向かうためだ。
9:00 ポスター制作の二人をやさしい家に残し、残りのメンバーで十日町病院に向かう。まず、披露宴のプランターサービス用にプランターに土を入れる作業。アサガオの苗の水やりも欠かせない。作業をしていると、続々と十日町病院の職員さんがかけつける。日曜日の病院に職員さんが別の用事でやってくることは極めて稀なはずだ。否応なく結婚式に向けて気持ちが高まる。
10:00すぎ。足助病院の三橋先生が正装で十日町病院に到着。さっそく、アサガオの苗の状態を診てくれる。土の量、プランターの底に水はけを良くするために砂利を敷き詰めるなどのアドバイスを早速いただく。

結婚式会場の会議室にあるカーテンレール

結婚式会場の会議室にあるカーテンレール

土を入れたプランターを会場になる3階会議室に運び入れる。あらためて空間を眺めていると、前から気にかかっていたが、天井に備え付けられたカーテンレールが目に入ってくる。経営課井沢さんにたずねると、実は中越地震後に病棟が使えず、この会議室が臨時の病室になったらしい。その名残なのだ。井沢さんはこのカーテンレールはそのまま残して地震を忘れないためのメモリアルにしたいとおっしゃっていた。
白布の上にプランター、新郎新婦の席が整えられる。映像上映の準備も整った。

12:30 いよいよ開場。かつて十日町病院の事務長補佐だった早川さん、現在は六日町病院に勤める前看護師長の阿部さんらが礼装、正装で会場にかけつける。もう、単なるイベントでも現代美術的な遊びでもない。これは本物の結婚式だ。今起きている現実に感動でぞくぞくしてくる。報道陣も多い。取材している記者さんはざっと4社ほど。すごい反応だ。
13:00 スタッフの二人がバージンロードを会場の真ん中に敷く。列席の皆さんはスーツ、ドレス、十日町病院の職員さんは8割が着物。さすがに着物の街十日町。事前に招待した足助病院の関係者は9名、十日町病院関係者は23名合わせて32名。加えて十日町市役所の小林さん、空き家を貸していただいている樋口さん、映画「シャッターズ」を製作しているアーティスト、アートフロントギャラリーの柳本さん、そして当日話を聞きつけて来てくれた患者さんたち。会場は60名ほどの人々で熱気に包まれている。
赤塚の司会で結婚式開幕。生演奏のピアノとフルートが空間に彩りを与えている。

新郎(代理)と新婦(代理)

新郎(代理)と新婦(代理)

まず新郎代理の十日町病院塚田院長が登場。つづいて新婦代理の鈴木さんがアサガオの育ての親三橋先生のエスコートでバージンロードに進む。鈴木さん、きれいっ。すてきっ。振り袖がめちゃくちゃよく似合ってる。三橋先生もダンディー。かっちょいい。普段クールな柳本さんも「すごいなぁ…。」とつぶやく。
花嫁代理の鈴木さんを塚田院長が預かり、新郎新婦の席に着席。
人前式の形式に則っているので、まずは新郎新婦の誓いの言葉と誓約書の署名。続いて証人となる列席の皆さまが各々ペンをとり、証明書にサインする。厳粛な空気はまさに結婚式だ。
とうとう、本当に嫁にいってしまった、足助アサガオ。
一度新郎新婦(代理)は席をはずし、続いて披露宴。披露宴が始まる前までは音楽の生演奏とアサガオの生い立ちのビデオ。赤塚が大まじめに足助アサガオの取材をして編集したものだ。擬人化された足助アサガオについてリハビリテーションの作業療法士、理学療法士の皆さん、病院利用者の方々のインタビューなどが織り交ぜられて、感動のドラマに仕立てられている。時間も手間も愛情もいっぱいに感じられる映像だった。赤塚、やるねー。

アサガオの生い立ちを描く感動のビデオ

アサガオの生い立ちを描く感動のビデオ

続いて、祝電の披露だ。なんと我が名古屋造形大学を代表して学長からおしゃれでウィットに富んだ電報。十日町市長からも祝電が寄せられている。いっそう結婚式を盛り立てる。
さて、披露宴の開幕だ。
新郎代理の塚田院長の手に引かれ新婦代理の鈴木さんが再びバージンロードに登場。皆カメラを片手に最高のワンショットを撮ろうとバージンロードに殺到する。フラッシュのシャワーがご両人に注がれるー。
苗を持ち各テーブルを廻り、キャンドルサービスならぬ「プランターサービス」。朝に準備したプランターにアサガオの苗が植えられて行く。
最後に新郎新婦(代理)の挨拶。お二人とも門出の挨拶としては申し分のない、すばらしい挨拶だ。列席の皆さんも感動に包まれながらその言葉に耳を傾ける。
最後に、新郎新婦(代理)がバージンロードを歩き会場を後にするー。
ほのかに甘酸っぱい印象を残しながら「足助アサガオのお嫁入り」は幕を閉じる。
最後に挨拶する司会をつとめた赤塚は感無量で言葉がつまる場面もあった。とにかく、よくやりきった。小さな失敗は想い出にかわる。

アサガオが嫁いだのは実は始まりの合図である。これから花を咲かせるまで水をやり、蔓の方向を決めてあげながら育てて行かねばならない。それとともに足助病院と十日町病院との交流と発展を育んで行かねばならない。
まだ、大地の芸術祭の会期ではないが、私たちの活動はこのセレモニーを機にスタートした。

退場する新郎(代理)と新婦(代理)

退場する新郎(代理)と新婦(代理)

十日町病院エントランスに直植えする

十日町病院エントランスに直植えする

結婚式後に記念撮影

結婚式後に記念撮影