Nobuyuki Takahashi’s blog

2011年 7月のアーカイブ

夏 たくましい、いのち

2011年 7月 31日

足助病院 三つの提案

2011年 7月 29日

5月6日の訪問見学会以来、今年度初めての研究会を行う。三つの作品プランを足助病院へプレゼンテーション。作品の安全性や病院利用者や職員さんに与える影響や可能性について、丁寧に検討して行く。
こうした研究会の進行の様子は10年前にやさしい美術プロジェクトが設立された当初と何ら変わりはない。スタッフ林は在籍していた頃を思い出しながら、この繰り返されてきた営みの意義を再認識したようだ。
司会進行はこの数年リーダーを務めた古川からバトンタッチして上田晴日に。突然の指名に戸惑いながらも立派に司会を務めた。
メンバー倉内が作品プランの提案を行い、参考作品を披露した。その作品を観て研究会に参加する看護師さんらが一瞬どよめく。今まで観たことがないという驚きと、作品が放つ色彩が織りなす甘美な感覚が、新鮮に感じ取られたようだ。倉内本人はまだ確固とした自信を持てず、おそるおそる披露した作品であったが、思いのほか好印象を病院サイドに残したようだ。これをバネに充実した作品を期待したい。

足助病院は今年度より新病院建て替えのため工事に入った。段階的に解体と新築を重ね、平成25年完成を目指す。

作業療法室に顔を出す。外の歩行訓練のトンネルに「足助アサガオ」がそろそろ花をつけている頃だ。と、思いきや今年はゴウヤが植えられているではないか。これはこれですてき!大島の野村ハウスにできたグリーンカーテンもゴウヤだ。涼やかな風と緑の生命感がもたらされていた。

制約と可能性

2011年 7月 26日

「病院でアートなんて、制約があって大変ね。」
と、よく言われる。
病院内の制約はわかりやすい。人が傷つき、病んでいる時に、どうしても必用なことが絶対的に、そこに横たわっている。制約があるから、あれができない、これができない、と言っていたのでは何も始まらない。そこには人がいる。そのことは頭で考えてもどうにもならない。できるだけ近づいて直視しなければ。

病棟の一見無機質な廊下。50メートルは続くその廊下の先に作品を設置するとしよう。
病室から出ることもままならない方が、ある日病室からなんとか身を乗り出すとその先50メートルほどのところにこれまで観たこともない何かが飾られているのに気付く。普段はどうということのない50メートルという距離感。しかし痛んだからだには埋めることのできない隔たりだ。しかしとっても気になる、どうしても、近づいて観てみたい。
翌日、軋むからだに少しだけ挑戦を課す。病室から一歩前へ、歩みだす。50メートルが、40メートルに。作品は昨日より少しだけその細部を魅せる。次の日には30メートル、そして20メートル…。同じ作品であっても距離の縮まりが、昨日と違った表情を垣間見せてくれる。それどころか、自身の中でいつもと違った情感が育まれているのに気付く。
小さな冒険にいざない、そこにいる人だけに味わうことができる喜び。そのような時空を創り出せるとしたら、これほどまでにアーティストのインスピレーションをくすぐるものはない。

そのために、私たちは何度も現場に赴く。そこで感じることから始める。創造力が引き出される場は意外にも制約が多く、創造性とはほど遠いとされる場所に潜んでいる。

大島の白線 かろうじて見える白線を頼りに歩く入所者がいる

震災支援 何も終わっていない

2011年 7月 25日

森をつくる折り紙Morigami(もりがみ)の震災応援バージョンをワークショップ形式で展開。
まずは、オープンキャンパスで。

平和紙業のヴェラムでもキットを置かせてもらった。
震災応援バージョンということで、メッセージが描き込みやすいようカラーコーディネートし直し、紙は平和紙業が無料提供、ウサミ印刷が印刷代を抑えてくれ、ローコストで作ることができた。接着面の両面テープは様々な人々の手を借りて貼付けている。あとはより多くの人々にMorigamiを折っていただき、森を大きく育むことができればと思っている。

平和紙業 ヴェラムにて

オープンキャンパスにて

生き様と歴史が隣り合わせ

2011年 7月 24日

東村山にある国立ハンセン病資料館へ行った。西武池袋線で清瀬まで、そこからバスで10分ほどのところだ。
資料館は国立療養所多摩全生園の敷地内にある。周辺は住宅地だが、ところどころ鬱蒼とした雑木林に隔てられ、以前あった周囲との隔絶の痕跡を見て取ることができる。

常設展示は見応えがある。ハンセン病をめぐる歴史のパネルとそれにまつわる事物の展示は歴史的事実の重みを伝える。
証言がビデオで編集され、全国にある療養所で取材された入所者のインタビューを鑑賞することができる。
そして企画展は「かすかな光をもとめて」と題した、盲人の入所者に焦点をあてたもの。 私が大島で預かっていた木製の盲人会館看板が展示されている。ハンセン病を患い、失明して二重の絶望を背負った入所者のコメントがA4ほどの紙にプリントされ、壁一面にびっしりと掲示してある。一枚一枚が叫びとなって頭の中で反響する。
これからハンセン病資料館に行く人にアドバイス。丸一日時間をたっぷりとって訪れてほしい。

資料館を出て、全生園を歩く。食堂で定食を食したあと、あたりに耳をすましてみる。子どもたちが遊ぶ声が聞こえる。高校生が通りがかる。けっして多くはないが、自然に全生園敷地内を行き交う人々の姿が見受けられる。
「隠された史跡」として、監房跡や洗濯場(包帯を洗ったとされる)、収容門の跡が表示で示されている。遺構が全く遺ってなくとも資料館で見た史実と現在の風景を重ねて想像する事ができる。そして、今も、ここで入所者が日々暮らしている。生き様と歴史が隣り合わせにあるということが、とても力強く感じられた。

全国唯一の離島、大島。たとえば「資料館」という構想が大島に成り立つだろうか。生き抜いてきた証。それを、後世に伝えて行く事ができるだろうか。

少年少女舎跡は荒れているが、取り壊される事なく現存している

生き抜く

2011年 7月 22日

約20名の学生にミッションを言い渡す。
「一晩、自分が生き抜くシェルターを作りなさい。」
素材は購入できない。既存のライフラインを使う事はできない。そして屋外に設置すること。
なおかつ、本当に泊まる。
こうして、学内にバラック状のシェルターが現れた。ある者は建物に寄生するように。またある者は植栽と共存する。

授業を終えてすぐに東京に向かう。アーツ千代田3331のエイブルアートジャパンアトリエで行われるワークショップ「ひかりCafe」に参加するためだ。「臨床するアート」 と題して行われたレクチャーのリレーがきっかけとなり、その参加者が自主的に集まり、意見交換や情報のやりとりが始まった。今回は田村朋美さんが「ひかりCafe」を企画。やさしい美術の「ひかりはがき」を私たちに代わって実施し、震災やその周辺について自由に語り合う機会とした。田村さんは私を東京に呼ぼうというつもりはなかったのだが、私は田村さんの企画に共感し、参加する事にした。

今回の「ひかりCafe」には、12名の参加者。円座になってゆったりと語り合うにはいい感じ。私は30分ほど時間をいただいて、「ひかりはがき」の取り組みについて解説した。被災された方々にはがきを渡すときの様子を詳細に語る。そこに至るまでは、正直なところ私にはこのアクションが何になるかの確信があるわけでもなく、ぶれにぶれながらなんとかここまでやってきた。そして結果も結論もなく、状況に感応しつついまだ進行形なのである。
参加された方々は障害者の施設で働いたり、NPOで支援活動を行うなど、それぞれ興味深い仕事に携わっておられるようだ。今回の「ひかりCafe」 ではワークショップの流れもあって、私が話をすることになったが、今後「ひかりCafe」がゆるりと続いていくのならば、参加する人々が持ち回りでお一人ずつの活動に焦点を当ててお話をしていただくのも一考かも。

学生が制作したシェルターの一つ 螺旋階段に寄生

シェルターの中 宗教的な空間

ひかりCafe 実施風景

繰り返し、+

2011年 7月 21日

Morigamiの震災応援バージョンはウサミ印刷、平和紙業、デザイナーの柳さん、谷崎さんらの協力でお金をかけず、手間をかけて準備を進めている。
平和紙業の店舗、ヴェラムにMorigamiのキットを設置させていただくことになった。表札制作の予備で宮城県七ヶ浜町から名古屋に持ち帰っていた土台の木でMorigamiの棚を作った。
+++…人の営為が繰り返され、広がりが生まれる。Morigamiは連綿たる行為が自然を創り出す。

津波で流されてもなお、大地にしがみついていたお宅の土台の木

ひかりに満ちていた

2011年 7月 19日

大島にあるミニ八十ハカ所めぐり 地蜂を光背に擁する

瀬戸内の蒸気が大島を包む

野村さんの畑の坊ちゃんカボチャ 美味しくいただいた

大島 野村ハウスの表札

ひかりを感じた

2011年 7月 18日

大島から見た高松

大島の最も古い建物のひとつ、霊交会の扉

野村ハウス(大島一般12寮)の前に広がるグリーンカーテン

足を使えば、出会う機会も増える

2011年 7月 18日

臆する事なく、足を使い、近くに行く。そうすると、遠くでは体感できなかったことがたくさんあることに気づく。足を使えば良いというものでもない。全身の感覚を触手の末端まで漲らせ、自らの内の現象を受けとめる柔らかな状態を保たなければならない。

発達センターちよだのW.S 色水で遊ぶ

納骨堂横のやまもも

野村さんの水瓜

カフェ・シヨル開店一周年!!