Nobuyuki Takahashi’s blog

空家リサーチ

昨日24日から25日にかけて、一泊で新潟県十日町市に行く。
来年に開催される大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレでやさしい美術プロジェクトは十日町病院との協働で活動する事が決まっている。空家をサテライトスペースとして活用して病院での取組みを知らせ、トリエンナーレ来場者と地域住民、病院とが連携するプログラムを計画している。空家を探しているところで、急遽空家の家主さんとお会いできることになったので、十日町に向かった。
新幹線に乗っている間は大雨だったが、現地は曇りで時々霧雨が降る程度。家主さんとはその空家でお会いする予定だ。少し時間があるので、病院周辺を歩き、空家周辺も歩き回る。霧雨で潤った草花が美しい。ここ妻有で目にするグリーンは濃厚だ。何が違うのだろう、光?葉緑体の強さ?
空家の前で待っていると、家主さんらしき人がやってきて鍵を開けて窓を開けている。仲介役のアートフロントギャラリー柳本さんはまだ着いていないが、ぼーっと見ている訳にいかず、さきに挨拶する。ご挨拶までに名古屋のお菓子をお渡しすると緊張がとけて少しだけなごむ。ほどなくして柳本さんがやってきて仕切り直し。今回の経緯を家主さんに説明する。家主さんは親子でこの大地の芸術祭を支える「こへび隊」と呼ばれるボランティアスタッフである。トリエンナーレへの理解は深く、私たちの活動の内容をすぐ理解してもらえた。この空家の歴史を少しだけ語っていただいた。今はほとんど遺っていないが空家のすぐ近くには桜並木があった。家主さんが嫁いだ30〜40年前は地場産業だった着物の染め工場がたくさんあり、それはそれは活気があったそうだ。
この空家にはたくさんの荷物がある。家主さんや家主さんのご親戚、亡くなられたご親戚の荷物が未整理に積みおいてあるのだ。私は、小原村での経験があり、家主さんの家に対する感情をなんとなく察して、相談しながら整理整頓をしてゆきましょう、と声をかけた。冬の雪掘りはこの空家関してはプロにお願いしているとのこと。私たち素人ではとても無理だそうだ。かわりに現在お住まいのお宅の方をお手伝いしていくことにする。
次回トリエンナーレに向けてこの空家をお借りすることになりそうだ。これから正式な手続きをふむため、空家活用の詳細はあらためて報告する事にする。
家主さんに現在のお住まいを案内していただく。古くはないが、昔ながらの軸組で作られた町家である。欅をふんだんに使っていて、建具も装飾が施されている。聞けば、ここは着物の商談をまとめる部屋だったとか。トリエンナーレに訪れた人で宿がなくて困っている人や泊まるお金のない学生さんを幾度となく泊めたというお話をきく。家主さんのオープンなお人柄がしのばれるエピソードだ。また、すてきな出会いがあったことが本当にうれしい。
その晩はいつものホテルしみずに一泊。夜は妻有に来た時の行きつけの居酒屋「遊らく」へ。ここのタコの唐揚げは絶品。串は炭火で香ばしくうまい。
25日はプロジェクトの大事なミーティングがあり、予定を入れないようにしていたが、スタッフやベテランメンバーに任せる事にする。私は十日町から東京に出て、ハンセン病の関連、児童書の関連のリサーチをしてきた。また日をあらためて書く事にする。