Nobuyuki Takahashi’s blog

小牧市民病院 モビールプラネット再び

9:30 すでにアトリエ、研究室の引っ越し作業が始まっている。業者の段取り、荷物の扱い、見事だ。親方はまだ若い青年だがなかなかしっかりしている。いくつか荷物の指示をのこし、今日の小牧市民病院への搬入準備に取りかかる。
10:30 荷物をスタッフ泉の車に積み込み大学を出発。今回搬入する作品の作者であるスタッフ井口が徹夜で病院に合わせた配色の新作を制作してプロジェクトルームに届けてくれた。間に合ってよかった。
11:00 小牧市民病院に到着。メンバー川島と待ち合わせる。
病棟4階に行きデイルームに作品、道具、脚立を持ち込む。デイルームには入院している病院利用者のご家族が休んでいたり、時には手術後の痛々しい姿で点滴棒片手の方も見受ける。そうした動いている病院の日常に乗り込んで行き作品を設置する、これがやさしい美術プロジェクトの搬入だ。
まず、現場をしっかりと把握する。今回の作品は天井付近にワイヤーを通し、そこにモビールを結わえて行くプランだ。基礎となるワイヤーをどこを基点に張るか。線的に配置する当初の予定を変更し、空間に広がりを持たせる配置プランに変更する。ワイヤーを掛ける場所も吟味しなければならない。離脱して落ちてくるということになれば紙でできたモビールなれど、けがをする人がでるかもしれない。絶対離脱しないという確信が持てる部位を見つけられるかがポイントとなる。
ワイヤーをバランスよく張り終えたところで昼食。
昼食後は休憩を一度もとらず、作業に没頭する。

モビールプラネット設置作業

今回のモビールは2人の作者の共演である。先述した井口とデザイナーの溝田さん。2人の制作したプロトタイプのモビールはやさしい家の企画展で発表した。日本家屋である「やさしい家」ではハイトーンの配色が木の天井に良く映えた。しかし、病院内に合わせると以外にもビビッドな配色でかつコントラストの高いものが惹きたつ。現場に持って来なければけっして判断できないことであり、こうした予定調和が壊れていくのが現場設置の醍醐味でもある。
中心となるモビールを配置していき、その周囲を引き立てるようにほかのモビールを配置していく。道行く病院利用者の方々から「あら、きれい。」「すてきなアイデアですね。」と声をかけられる。私たちの作業の様子をじっと見守っている人もいる。幾度となく立ち会ってきた搬入設置の場面だが、こうした反応をいただけるのは本当にうれしい。毎回新鮮だ。
14:00 小児科病棟処置室、外来の装飾を今年手がけている、森さんが小牧市民病院に到着。看板屋さんのお仕事に都合をつけて来ていただいた。
15:00 モビールの大枠の配置が見えてくる。「やさしい家」での展示に近い印象になりそうだ。
16:00 小児科外来の展示する時間になり、森さんとスタッフ泉が作品を持参して向かう。
私と川島はひたすらモビールの設置に精を出す。

処置室浮遊感いっぱいになった

17:30 外来の展示作業を無事終わらせて今度は病棟の処置室天井に作品を設置する。森さんが制作した絵本の登場人物が色とりどりの紙飛行機に乗って処置室の空間を飛び回る。なんともゆかいな世界だ。処置室は子どもたちが恐れる場所。「怖くて恐ろしい場所」を「来て得した場所」にかえる。
内科処置室とデイルームの設置作業が同時並行で進む。メンバー川島には空間設置の作品を制作する上でのポイントを伝えていく。立体や空間を造形していくにはまずフットワークが必要だ。とにかく足を使って様々な角度から作品を見つめるよう川島に指示する。
18:30 デイルーム展示、処置室の展示が完了する。通行する病院利用者から励ましの言葉や作品の感想をいただく。本当にうれしい。
20:00 4階病棟の設置を終え、破損した作品の再設置、新たに作品の出品をお願いしたayakoさんの消しゴム版画による多色作品の設置に向かう。
ayakoさんの作品設置を試みたが、ワイヤー金具の不備や設置方法の問題が起きて、次回の設置作業の宿題とする。
20:30 小牧市民病院を出発。本学にもどる。