Nobuyuki Takahashi’s blog

Archive for the ‘日記’ Category

フラクサス ディスプレイ搬出

2010年 12月 25日

昨日のクリスマスイブは家族でマクロビオテックのケーキと生春巻きでパーティー。
朝、子どもたちの歓声で起こされる。子どもたちが枕元に置いたサンタさんへのお手紙がなくなり、その代わりに山積みのプレゼントがどっさり。
8歳になる長男慧地が「サンタさんの正体、だれなんだろ。」とつぶやく。
「あ、このプレゼント、こないだ売ってたのと同じだ。」
売ってたものだからといって、サンタさんからの贈り物であることはかわりない。子どもたちの笑顔がまぶしい。

18:30 上小田井にある ショッピングモール「ワンダーシティmozo」に行く。mozoの中でもひときわ大きい店舗「ライフスタイルショップFLAXUS」(株式会社ワールド)に展示中の二つのディスプレイの撤去作業のためだ。産学共同プロジェクトとして私の運営するアートプロデュースコース3年次学生が核になって他コースからも多数参入。
20:00 まずは脚立を使った高所作業や大掛かりな作業以外の撤去を始める。
22:00 閉店と同時に一気に撤去作業。作業分担は学生が取り仕切り、うまくはかどっている。共同作業、連携する仕事のおもしろさ、難しさに気づいたのか撤去作業に参加した10名の学生の足取りは軽い。
23:00 予定通り撤去作業が完了。good job!

0:00 大学で積み降ろし作業。気温もぐっと低くなり暗い中の作業だ。けがのないように慎重にかつ迅速に進める。学生の親御さんに3トンの幌トラックを出していただいたのでとても助かる。実はクリスマスのこの時期、レンタカーは業者におさえられてしまっていることがわかった。こうしたハプニングからも学ぶことは多い。
0:30 積み降ろし作業終了、解散。お疲れさまでした!
1:30 帰宅。

卒業制作

2010年 12月 20日

ここでは私が大学で担当しているコースの授業や制作の様子は少しふれる程度にしている。やさしい美術プロジェクトの活動がメインのブログだから。今日は制作が軌道に乗って来た卒業制作にちょっとだけふれてみたい。
今日、午前中にスタッフ川島と今後のスケジュールについて打ち合わせ。その後はコースの授業に集中。
卒業制作でアトリエの活気がすごい。制作は二の次で盛り上げるために鍋をする者もいる。この時期、卒業制作になったとたんに大きなものをつくったことがない学生が唐突につくりたいと言い出す。本来は失敗しながら自分で編み出していくものだが、すでに残された時間が限られたりサポートがなければ仕上がらないものもある。その時は極力その人の力でなんとかやれる方法を探してあげる。例えば金属のフレームをつくるとする。手っ取り早く溶接という方法もあるが、その場合は私たち教員や工房の職員が学生に代わって作業のほとんどをやってみせることになる。これでは実感がわかないし、本人に身に付くことも乏しい。業者に発注するのも良いのだが、学生にはその経験が少ないので頼み方を知らない。私はそのような相談があった学生には「わからないことはわからない、と業者の人に話して一度叱られてきなさい。」と突き放す。たいてい「そんなことも知らんのか。」と叱られながらも業者のおじさんがやさしく教えてくれたり、ほかの業者を紹介してくれたりで何か必ず収穫があるものだ。自分でぶち当たって得たものって自信につながるもんだよ。

リベット留めでアルミのフレームを製作

けっこう大きなものも軽く、頑丈につくることができる

発達センターちよだ クリスマス準備

2010年 12月 15日

昨日のミーティングでちよだでのワークショップについて議論が繰り広げられた。前回のワークショップで子どもたちが制作したオーナメントを次回のワークショップでどのように飾り付けして、楽しむか。子どもたちのお母さんも参加するちょっとしたクリスマスパーティーだ。昨年とはひと味違ったものにしたい。クリスマスの情景を書き割り型に、つまり舞台美術の構成のように設えるということになった。
私は卒業制作をしている学生のフォローの合間にプロジェクトルームをのぞくと、メンバー4人が精力的にツリーや雪車、煙突のある家を制作しているところだった。スタッフ川島も休みを返上して一緒になって制作している。ここまで盛り上がれば私の出る幕ではない。任せてほかの仕事をさせてもらおう。
がんばれっ。ちよだワークショップチーム。子どもたちが待ってるぞー。

CAS W-Door展

2010年 12月 4日

オープニングで披露された料理はふなだかよの作品の一部

大阪難波にあるCAS(Contemporary Art and Spirit)で我がプラスギャラリープロジェクト代表の平松伸之が企画に携わり、W-Door という展覧会を開いている。+Galleryを運営している2002年から続いている韓国のアーティストとの交流。今回は企画コーディネートをCASの笹岡敬さんと平松が日本の作家、そして韓国の作家はチョン・ジミンが担当してセレクト。先行して日本ではCASで展示し、翌年2月に韓国ではソウルのsalon de Hというスペースで同じアーティストによる展示を行う予定。
W-Doorは女性だけの展覧会。男性はあまり男性ということを意識しないでいる。それは現在の社会構造が男性の原理で動いていることに他ならない。ひさしぶりに会ったジミンとウニョン。彼女たちからは私が知り合った女性のアーティストが次々と結婚したという報告を受けた。ジミンと一緒に展覧会に出品した、平松の奥さん里奈さんは元やさしい美術プロジェクトのスタッフ。彼女は今年生まれた息子の育児に奮闘中とのこと。一般的に見て女性を巡る状況は現実として物理的に体験していくことが多いように思う。「女は実体、男は現象」とは免疫学者多田富雄さんのことば。
日韓交流展は幾度となく企画に参加してきたが、その度に浮かび上がる私たちを支えるモノ、コト。愚直なまでに私が私であることにこだわるアーティストの営みは美しく、そしてずきんと痛い。

こういう時に使うのね

2010年 12月 3日

私の8歳になる長男の宿題を何気なく見た。なんか、少し違う気がするけど―。

先生が引いた赤線に苦悶の跡が…。

パワフルな女性

2010年 11月 28日

8:30 春日井のレンタカーで2トンロングのトラックを借りる。例の「でっかい尻」ことFLAXUSのディスプレイ搬入だ。
展示の諸作業についてはここでは詳しくはふれないが、搬入作業に参加する学生が現場で失敗、試行錯誤を繰り返す中で、経験者の立場から現場で必要とされることを実地に伝えることができたのではないか。
0:30 セッティング作業終了。とくに狭いショーウィンドウのガラスの内側にサンタさんの「でっかい尻」を入れるのは冷や汗ものだった。寸法はまさにぎりぎり。夜中の作業になったので人手も少なくなってしまった。私自身こういう局面は何度もくぐり抜けてきたのだが、いつまでたっても慣れというものはない。作品の躍動感を失わず、一方で不安材料を徹底的に洗い出して、解決の糸口をつかんでおき、現場ではけっして慌てない。そのバランスがぎりぎりの緊張感を保ったとき、人に驚きと感動を与えることができる。
納期は絶対守らなければならない。産学共同プログラムとはいえ、遊びではないのだから。
相当の作業内容。12名の女の子たちが大活躍した。私が運営するアートプロデュースコースの学生3名がコアになり、イラストレーションデザイン、情報デザイン、プロダクトデザイン、視覚伝達デザイン、総合造形などの専門分野が異なる学生有志が集まった。有志で集まるというのはいいものだ。同じ気概をもった人間だけが集った時に生まれる爆発的なパワーというのがある。しかし男どもはどこに行ったのか―。筋肉ばかでうす汚くて臭い男たちは、こういう時にしゃしゃり出てきて男気を魅せるもんだが…。うーん、そもそも「男気」というのが古いのか。
ガンタッカーを初めて使った子が何人もいた。ハンマーもドライバーも握ったことがない子がいた。率先して脚立にのぼって高所作業をばっちりこなした子も。彼女たち、ほんとパワフルだわ。それに皆色とりどりの作業つなぎが似合っててかわいかったよ。

でっかい尻

2010年 11月 26日

尻って…。いきなりのタイトルでごめんなさい。
私が運営するコースの学生とともに取り組むMOZOディスプレイプロジェクト。仕上げの段階に入った。学生も充実した表情を浮かべ、作業をがんがんこなしている。
さて、私はふと心配になって展示場所となる上小田井にある巨大なショッピングモール「MOZO」へ偵察に。私は現場仕事を幾度ととなくこなしてきたので、やはり現場を見て確認することが一番だと知っている。先方から渡された図面もあまり信用してはならない。現場で実寸を測るまでは安心できないのだ。
展示する予定のショーウインドウを見て、びっくり。ディスプレイの背面が丸見えなのだ。裏側もきっちり作らないと粗が目立ってしまう。採寸してさらにびっくり。図面には載っていないガラス面の巻き込みがあってこれではサンタさんの「でっかい尻」がショーウィンドウに入らない…。
大学に戻り、急遽全員集合。現場の状況を報告し指示を与える。「最後まで油断するなよー!」さぁ、ラストスパート。
やさしい美術の作品搬入も現場仕事。現場を抱えるものはなんでも同じだ。

まるでシンガポール空港のようなMOZO

夜、豊田市の老人福祉施設「ぬくもりの里」の取り組みのマスタープランを作り上げる。
19:30 書類がなんとかそろったころ、発達センターちよだのワークショップを実施したスタッフ川島とメンバー古川、森が帰ってきた。なんでも、こどもたちの反応が特別良かったそうだ。何が要因かはわからないけれど、川島の話によれば確かに今までとは異なる子どもたちの交流の様子が垣間見えた。発達センターちよだでのワークショップは4年目を迎える。子どもたちの顔ぶれはこの間変わらないので長い付き合いの中で気付かないこともあるだろう。子どもたちがそれぞれのペースでゆっくりと成長している。それがふとしたことで現れたのかもしれない。
ワークショップに参加した皆が口々に言っていたが、私も、なんか、すごくうれしい。

これが例のサンタさんの「でっかい尻」

ぉあたぁっ!!

2010年 11月 16日

私のヒーローはあしたの「ジョー」こと矢吹丈、それとドラゴンこと「ブルース・リー」。
ぉあたぁっ! とはブルース・リーの気合いの声だ。ギターヒーローはやっぱりジミーヘンドリクス。B.Bキング…
まぁ、これぐらいにして―。

作品の埃を拭い取る

午前中は企画書のブラッシュアップ、メールやファックスの返事を出したり、対応に追われる。
13:00 1、2年次の授業。3年次の産学共同MOZOディスプレイプロジェクトの対応。
16:00 スタッフ川島とメンバー森を自家用車に乗せて小牧市民病院へ。
東5病棟のデイルームの作品プランを検討する。
小牧市民病院での取り組みは3年前までは院内に独自の検討委員会を編成していただき、各部署のドクターや看護師、検査技師ら20名ほどの病院職員と私たちやさしい美術プロジェクトとで毎月研究会を開いていた。小牧市民病院は500床を越える典型的な急性期病院だ。職員の皆さんは研究会で顔を合わせても常に顔面蒼白、緊張感がはりつめている。予断のゆるさぬ状況の患者さんを多くを受け入れている病院ならではの空気感だ。公立の急性期病院で7年間も協働関係を継続し、運営のための委託料を得ながら進めてこられたのは奇蹟に近いと振り返ってみて思う。他の地域で行われている同様の病院との協働プロジェクトと比較しても稀なケースである。
4年続いた委員会による検討は時間的にも体力的にも委員会に所属する職員さんを圧迫していた。また、作品の設置場所の検討となると、関係部署の意見や検討項目の吸い上げは調整役となる委員に負担が集中し、意見の吸い上げ自体も困難という状況だった。
職員を対象にアンケートをとってみて判明したが、本取り組みが病院の正式な委託事業であれ、現場サイドの職員全員が私たちのプロジェクトを歓迎している訳ではない。日々の仕事で精一杯なのだ。それは、確かにそうだ。職員の皆さんは「命」をあずかっているのである。そこに飛び込んでいき、アートの実践を行うということ自体、本当に意義があるのだろうか、そんな疑問を持ったことも一度や二度ではない。そうして揺さぶられるたびに私は病棟に行き病院利用者の皆さんの顔を見ながらゆっくりと歩いてまわった。手術の跡をおさえながら点滴棒片手に歩く人。ステレッチャーに乗せられた人に声をかけながら足早に検査室にはいる人、熱冷ましシートをべたべたに貼られ泣き叫ぶ赤ちゃんとそのお母さん…。私が関わっていることが何なのか、向き合うべきことは何か、自らに問う。そして私の中にある「きっと何かできるはずだ。」という気持ちに火が着くのだ。もどるべき原点はそこなのである。
3年前からは当年の担当部署の職員と直接意見交換、検討を重ねながら作品提供を行う体制に移行した。
前置きは長くなったが、今日は東5病棟の看護師さんに時間をとっていただいて作品検討を行った。東5病棟は泌尿器科にかかる患者さんが多い病棟だ。男性が9割をしめるという。試作品を見せたところ、快諾をいただいた。あとは現場で微調整をしていくことになる。
作品検討ののち、現在展示中のすべての作品を点検する。ここ最近時間に余裕がなく、断片的にしか実施できていなかった作品メンテナンスを粛々と進める。
作品の埃を取り払いながら一点一点向き合う。その度に数々の研究会での議論が昨日のことのように思い出される。そうだ、私はここにあるすべての作品に全力で関わってきたし、立ち会ってきたのだ。そこに一番ふさわしいかたちで存在感を放っている作品たち。その声が私を奮い立たせる。
(私にもっとパワーをください!きっとやりとげますから。)

ステーの矯正作業

20:00 スタッフ川島とプロジェクトルームに戻って来る。明日搬入する「えんがわ画廊」の準備を進める。廊下表示灯の内部の固定金具を流用してステーを取り付け、その先に半円形の縁が取付けられている。この縁の部分が小さな小さなギャラリースペースとなっている。ステー部分はアルミの板になっており、この2、3年の間に曲がり、歪んでしまっている。それらのゆがみを矯正する作業にとりかかる。金属加工の経験がほとんど皆無のスタッフ川島には残念ながら任せられない。川島に「アルミと鉄の固さや感触の違いってわかる?」と聞いたところ、「やったことがないのでわかりません。」とのこと。理屈でなく身体で覚えるものだ。体得といったらよいか。職人的な仕事から遠ざかる時流に、必要な場面もあることを知っておいてほしい。アルミの板材にどれほどの力を加えて歪みをとっていくか、金属特有の跳ね返り分も計算して力を加えていく。アルミは曲げ加工に弱いため、極端に力がかけられない。一度折れるまで何度も曲げてみるとその特徴はよくわかるが、今日はその時間もない。
21:00 作業終了。川島が固定部分の増締めを手伝ってくれたおかげで手早く完成することができた。おつかれさま。あー明日が楽しみ。メンバーの古川、小川が今頃作品の仕上げにとりかかっているだろう。
ぉあたぁぁっ!!

修復

2010年 11月 15日

濃い色の和紙部分が修復を加えたところ

10:00 学内を歩いていたら、一昨年前まで私の運営するコースの研究室職員をしていた鷲見くんに会う。今日、明日をかけて、小牧市民病院廊下に設置した作品「その下にあるもの」の修復作業に来てくれている。
作品「その下にあるもの」は小牧市民病院廊下の窓ガラスいっぱいのサイズでパネル状に制作されたもの。そのパネルが窓枠にはまり廊下の一面を覆う。ただ覆うだけではない。パネルの素材は半透明になっていて、全面に直径10センチほどの穴が穿たれている。そこに特殊な和紙がサンドイッチされている。自然光は浸透膜状の作品を通り抜け、あたかも外気を呼吸しているかのようだ。
さらに工夫が施されている。別の棟からその廊下を見ると、1階と2階のパネルがつながってイメージされていて、各穴に差し込まれた和紙がドットの集合を成し、「虹」のイメージを構成している。その廊下を通る時に感じる光と遠くから見たダイナミックな光景がこの作品の最大の魅力だ。
残念ながら、この和紙の部分に穴を開けるいたずらが繰り返され、かれこれ3度目の修復作業となった。
16:00 借りたアトリエで作業をしている鷲見くんのもとへ。作業は思いのほかはかどったようで、今日で修復作業完成。鷲見くんお疲れさまでした。
和紙が経年変化していて、修復した部分と初期に制作した部分との彩度の落差が気にかかるところだ。今回が最後の修復作業となるだろう。
17:30 教授会
20:00 覚王山で大島参加のアーティスト泉と井木に会う。今後の大島について話し合う。

好きになっちゃったの。

2010年 11月 13日

調査書推薦入試の日。
4年前の朝のことだ。娘が生を受けた。分娩室にあふれる陽の光が差してくる中、我妻はへその緒がついたままの我が子をおなかの上で抱きしめていた。
彼女の名前は美朝(みさ)と名付けられた。長男慧地も出産に立ちあったのが印象に残っている。
繰り返しだが、もう、4年も経つのだ。
夜、皆で誕生日パーティーをする。美朝は私の膝の上でべったりとすいついて離れない。上目遣いで「わたし、ハニーのこと好きになっちゃったの。」と言う。
これにはめろめろになってしまう。
ちなみに「ハニー」とはわたしの家族内での愛称だ。
私の顔を見ては全速力で私の胸に飛び込んで来る美朝。
あばらが折れるかと思ったよ―。
生まれてきてくれてありがとう。