Nobuyuki Takahashi’s blog

2011年 2月 18日のアーカイブ

発達センターちよだ 染み込む

2011年 2月 18日

久しぶりの発達センターちよだ。5月以来現場に行くことができず、ご無沙汰してしまった。子どもたちもきっと大きく成長しているだろう。
14:00 私とスタッフ川島、メンバー古川、原嶋の4人でちよだに到着。現地ではさらにボランティアと職員さんを加えてワークショップを実施する。職員さんから「お久しぶりですね。」とあたたかく迎えられる。到着して判明したのだが、小学校の行事や授業の関係で今日の取り組みに参加する子どもたちはわずか2名。子どもたちに対して大人が多すぎるという心配が出てきた。子どもたちがびっくりしてしまわないように気を配ろうということになった。私と川島は記録や道具などの設えを整える裏方にまわり、古川と原嶋はそれぞれ子どもたちに寄り添ってサポートすることに。
15:00 打ち合わせと準備が整った頃、子どもたちがお母さんと連れ立って発達センターちよだにやってくる。地域に暮らす学齢の障害を持った子どもたち(この取り組みに参加している子どもたちは主に自閉症)はもともと発達センターちよだに通園していた顔なじみばかりだ。子どもたちもお母さん方も安心してここにやってくる。
一緒に遊びながら身も心もほぐして開放的な空気を育んでいく。
汚れても良い服に着替えると、さあ、造形ワークショップの時間だ。
今日の取り組みは木枠に布を張った支持体にぽんぽんスタンプに色水を含ませて描くというもの。画材はいたってシンプルだ。以前行ったワークショップを下敷きにして、子どもたちの成長や趣向に合わせてブラッシュアップし、より深化させている。
Aくんは支持体と絵の具を設えた部屋に入るなり、躊躇なく描き始めた。余白部分に水分をたっぷり含ませた脱脂綿のスタンプで大胆に染み込ませていく。Aくんは支持体の裏側からも手を触れる。断定はできないが、紙に描くのとは異なり、裏側まで染み込んでいることに反応を示していたのかもしれない。いずれにしても相当心を揺り動かされていたのは間違いない。
一方Bちゃんはワークショップにとりかかるまでに時間を要したが、いつもより絵の具の種類が多く準備されているのに気付いたのか、高揚した様子で画面に向かった。透明の容器、水の入ったスポイト類もふんだんに用意した。Bちゃんが以前から興味を示していた色水づくりに没頭できる環境が整えられている。というのも、ちよだ職員さんが以前から色水を作るのが好きなBちゃん向けにワークショップを考えてほしいという声があがっていたのだ。まんべんなく子どもたちに受け入れられる取り組みというのは難しい。それぞれ性格も趣向も違い、障害の質も異なるのだ。そこで、毎回一人ずつスポットをあてたワークショップを考案することにした。当人の反応は期待のうちだが、その他の子どもたちが思いもよらない反応を示してくれることがある。それはそれで以降実施していくワークショップにフィードバックできる参考要素となるわけだ。
Bちゃんがトイレに行っている間に支持体を床面に寝かせた。色水を垂らすそぶりを見せたのでひょっとしたら床面においた画面に新しいかたちで手を加える姿が見られるかもしれないという期待。トイレから出てきたBちゃんは最初は画面から外れた床面へ無作為に色水を垂らし込めていたが、まわりの指差しや呼びかけもあって画面に色水や水を頻繁にぶちまけた。いつになくはしゃぐBちゃんに色水を浴びせられた白布は鮮やかな染みをたたえていた。
ワークショップが終わったあと「ケース」で担当したスタッフ全員で気がついたことを出し合った。今日のワークショップは子どもたちの良い反応を得られたので今日参加できなかった子どもたちにも実施することになった。今日の反省点をふまえ、次回はより熟成させたワークショップを実現する。ご期待あれ!