Nobuyuki Takahashi’s blog

2010年 10月 27日のアーカイブ

ラジオビタミン出演

2010年 10月 27日

7:00 起床。昨日から肌寒い日が続いている。ホテルの外に出てみるが、空気の冷たさが引き締めてくれるようで心地よい。ホテルのレストランで食事して、チェックアウト。
9:25 NHK正面入り口に到着。ホテルから歩いて5分ほどだ。NHKは通勤ラッシュでたくさんの社員さんが広大なNHKの敷地に飲み込まれていく。
受付を済ませてゲートを通り、廊下を見やると、今回の「ときめきインタビュー」ラジオビタミンの担当ディレクター西村さんがやってくる。西村さんは髪を束ねていて、名古屋の取材でお会いした時と少しちがう印象。とってもきれい。ぎゅうぎゅう詰めのエレベーターで「ラジオセンター」へ。

スタジオで村上信夫さん、神崎ゆう子さんと記念撮影

「ラジオセンターのあるフロアはNHKのアナウンサーが集まっているところなんですよ。」と西村さん。スタジオに入るとスタッフの皆さんから気持ちのよい挨拶。とてもリラックスした空気感で仕事をされている。そうか、番組の空気感はスタジオ全体の雰囲気を伝えていることにもなるんだな、と感じる。西村さんは私に緊張感を与えず、それでもディレクターとしてここだけは伝えたい、というポイントをしっかりと私に伝えてくれる。
ニュースの時間帯になり、ラジオビタミン司会の村上信夫アナウンサーと神崎ゆう子さんがスタジオから出てくる。お二人ともすらりとして笑顔がすてき。かんたんにご挨拶申し上げる。
ときめきインタビューはこのNHKラジオ第一放送で一番長いインタビューワイドコーナーである。リラックスムードの中でもやはり私が伝えたいことはしっかりと自分の言葉で伝えたい。
10:00 スタジオに入る。スタジオに入ってインタビューが始まる直前になっても村上さん、神崎さんも私にどんどん話しかけてくる。息をとめて自分の出番を待つ、という感じではない。そのまま自然にインタビューに入っていく。
10:05 放送開始。西村さんが組み立てた構成のもとインタビューは進む。
やさしい美術プロジェクトの基本姿勢。患者さんにインタビューし、患者さんの日々を知り、患者さんの痛みや苦しみを自分のこととして捉えていくこと。
コミュニケーションあっての、関わりあっての表現活動であること。作品例に「私の美術館」「FOREST」「森をつくる折り紙Morigami(もりがみ)」
私の幼少の頃のお話。小学校2年生のころゴッホ展を観て熱を出して倒れたこと、兄の影響でロックにめざめ、絵を描く楽しみをおぼえたこと。
兄の死と向き合い、悩んだこと。私にとって初めての「やさしい美術」は私がボクサー、世界チャンピオン飯田覚士を描いた絵を兄の病室に貼ったこと。
兄の手を何度もにぎった。手をにぎるようなアート。それがやさしい美術の原点。
兄との思い出の曲「あしたのジョー」。
ニュースをはさみインタビューは後半へ。
大島での取り組み{つながりの家}についてお話しする。
私が作品をつくるのではなく、入所者の生き様を通してすでに潜在的にメッセージを投げかけている大島。その傍らに立ち、その声を外につなげていくことが私の仕事。
「大智×東條展」で展示された声の作品を流す。
「おおーい、やっとるかー」「ほっほーぃ」「おったらええどぉー」「かえるんかー」というかけ声が畑に響く。その声は悲痛なものではなく、生命感にあふれていて全身が震えるような感動をおぼえる。
実はディレクターの西村さんがプライベートで大島を訪れた時この声の作品が流れていた。西村さんはこの声に触発されて、今回の番組にいたったのである。
ミラー展の話。大島にのこされている遺物の部分をみがき自らの姿を映す。
訪れる私たちは入所者の皆さんの生き様にふれて、自ら問い返す。「生きるということ」。
大島自体が大きな鏡なのだ。
10:55 私のインタビューは終わった。
村上さんと神崎さんの導きでとても気持ちよくお話しできた。小原村での経験もお話する予定だったが、時間の関係で割愛。それでも今回一番伝えなければならないことはもれなく伝えられたかと思う。
番組を聞いていたリスナーから続々とファックス、メールが入る。20通ぐらいを目に通させてもらった。私が話したことに共感していただける人がたくさんいる。私はこうした人々に支えられているのだ。なんか、じんとしてくる。
11:30 西村さんに見送られながらNHKを後にする。
さて、ここから気持ちを入れ替えて展覧会を観てまわることにする。
まず、トーキョーワンダーサイトの「silent voice」を観る。私自身トーキョーワンダーサイトで展覧会に出品したことがある。歴史的、社会的テーマに取り組むアーティストの作品を観る。特にムン・ギョンウォンのHDフィルムの映像作品は歴史的な痕跡とアーティストの想像が交錯する世界がとても魅力的。クオリティーの高さも手伝って、心に何かを置いていく作品だ。

21_21DESIGN SITE

六本木の東京ミッドタウンに出て、21_21DESIGN SITEで佐藤雅彦ディレクション「これも自分と認めざるをえない」展を体験。あれをしなさい、これをしなさい、と鑑賞者に要求の多い展覧会。インタラクティブアートという印象とは異なり、人間自身がつくったシステムに人間が絡みとられていくような「属性」についての考察がテストケースとしてそれぞれの装置となっている。私とは何者か。とてもシンプルな問いかけを生み出している展覧会だ。
森美術館へ。
ネイチャーセンス展を観る。吉岡徳仁、篠田太郎、栗林隆の展覧会だ。
大空間を使ったインスタレーションはなかなかダイナミック。日常からかけ離れているスケールの大きさが観るもののこころをがっつりとつかんで放さない。吉岡氏の雪を喩えた羽毛が舞い上がる巨大なインスタレーションが目を惹く。光源が背景から当たっていて、計算しつくされた完璧な美しさ。3名の作家に共通することだが、自然現象に委ねる潔さを感じる。全てを創りすぎない、という絶妙なスタンスが人の存在を浮かび上がらせているように思える。
充実した一日だ。ひさしぶりに展覧会をじっくりと観た。リフレッシュ完成!