Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 2月 22日のアーカイブ

大島 探検

2009年 2月 22日

2月20日、21日と一泊二日で大島に行く。
20日7:15名古屋駅集合…と言いたいところだが、私が思いっきり寝過ごし遅刻。スタッフ泉、井木が7:37の新幹線に乗って先に岡山まで。私は次の新幹線に乗って岡山で合流。
10:50すぎにマリンライナーで高松に着く。11:10の官用船せいしょうに乗るにはあまり時間の余裕がない。前回の訪問では食事がまともにとれなかったので、今回は食料をしっかりと買い込んでおく。
11:10のせいしょうに乗り、大島へ。
まず、大島青松園の福祉課に行き、面会人宿泊所の申請書を書く。前回宿泊したので、部屋の様子もわかっている。食事も準備して来たので安心だ。食堂に行く途中で入所者Bさんにばったり会う。大島の暮らしと自然をずっと写真に撮っている方で、前回の訪問では20枚以上の写真DVDをいただいた。その場でまた新作のDVD2枚をいただく。今回はメジロと一足先に咲いた桜を撮影したものと、巨大な鶴を折ったときの記録写真である。Bさんの旺盛な創作意欲にたじたじだ。
いつものように職員食堂に行く。今日は鶏肉のグリルだ。こんがりとした食感がたまらない。おいしくいただく。

荒々しい瀬戸内海

荒々しい瀬戸内海

風が出て来た。気温はさほどでもないが、この強風、体感温度は相当な寒さである。海辺で漂流物を拾う。潮風で全身がべったりとする。
14:00事務長森さんに会いに行く。実は森さんは今年で定年退職だそうだ。今日初めて聞いて一同驚きを隠せない。せっかく仲良くなって来たのに。残念と思う気持ちとごくろうさまという労いの気持ち半々である。
森さんと談笑の後、大島の自然をもっと知りたい、ということで「風の舞」(納骨堂に入らなかった、火葬された入所者の皆さんのお骨が埋められている場所)からさらに北の山の方に入って行く。山から大島全体を臨むといかに小さい島だということがよくわかる。また、整然とならぶ施設が一望にできる。すると、ところどころに施設の棟が歯抜けになっているのが見える。入所者のいなくなった棟はすぐに取り壊されるのだろう、空き地が島に空白を作っている。
山の方に入って行くと「牛の背」と呼ばれる岩場に着く。足下は断崖絶壁。だが、そこには簡素なベンチが設えられていた。道も険しいが、きちんと下草が刈られていて、整備が行き届いている。
16:00スタッフ井木が官用船まつかぜに乗り込み島を離れる。吹きすさぶ風。島の松や山の木々、施設の配管を猛スピードでくぐりぬける轟音が寒さをさらに増長させる。スタッフ泉は桟橋の防波堤を越えてくる波を浴びて一人べたべたになっている。どうも防波堤の向こうを写真に撮ろうとして波の反撃を受けたようだ。
スタッフ井木が島を離れた後、私とスタッフ泉と再度山を歩く。手摺がなく、すぐ下は断崖絶壁という場所も少なくない。強風で煽られた海面には白波が見える。荒々しい瀬戸内海の一面を見る。
宿泊所に帰り、スタッフ泉と作品プランやイベントのアイデアを出し合う。構想がどんどんふくらむ。島の様子がある程度見えて来たので、構想もにわかに現実味を帯びてくる。
22:00各部屋に戻り、各自休むことにする。
21日7:00起床。私はもっと早く起きて写真撮影にむかう予定だったが、腰痛で起き上がれず、7:00までぐったりと寝てしまう。大島では毎朝7:00に決まって放送が流れる。今日一日の食事の献立が淡々と読み上げられる。施設の室内だけではない。島内の屋外に設置されてるメガホンで島全体に放送されるのだ。この光景も大島ならではのものである。

山頂より 山は萌葱色だ

山頂より 山は萌葱色だ

9:00スタッフ泉と南側の山に向かう。いくつか分岐している道を試しに上ってみるが、空き地で行き止まったり、神社があったりする。その中で唯一山頂に続く道があった。途中の景観がすばらしい。灌木が特長的だ。
山頂に着く。山頂にはNTTのアンテナが立っている。携帯電話の力関係を象徴しているのだろうか。大島では私の知るところではほとんどの電話会社の電話は問題なくつながる。私の電話はPHSだが、離島でありながら島内では全く問題なく使える。そうしたインフラ整備の全般に厳しい目が配られているようだ。人々の生活に必要なものとは何か。島に住む入所者の方々は最後の一人になるまでこの島に住むことをのぞんでいる。
昼食を職員食堂にとりに行く。土曜日は休業日なのだそうだ。現在工事で働く人々がいるために特別に営業しているとのこと。私と泉の二人分を特別に調理してくれる。国営の施設内でのこと、島外からの人々向けに商業施設として営業しているわけではないので、納得しているが、なんとか食事にありつけたのでほっとする。

干潮時にしかたどり着けないビーチ

干潮時にしかたどり着けないビーチ

食後は南の海岸線を歩く。探検隊さながら(いささかオーバーだけれど…)岩場を上り下りして砂浜にたどり着く。干潮の時にしか行くことができない場所だ。手つかずの浜辺は本当に美しい。しかもこの日はべた凪で湖の水面のようにたおやかな海だ。この浜辺から大島の主要な施設をのぞむと、その水面が鏡面となって映り込みそうだ。三脚を持って来ることができなかったので手持ちでばちばちにシャッターを切る。
その後、再度北の山にのぼる。入所者Bさんの捉えた大島の写真はまるで鳥の視点のようだ。きっとこの北側の山頂から撮影したに違いない。でもそこに行く道をとうとう見つけることができなかった。あたたかくなったら、是非Bさんを誘って山頂に行こうー。
16:00官用船まつかぜに乗って高松へ。前回の訪問でも感じたが、高松にあがると都会の臭いが飛び込んでくる。聞こえてくる雑音のいかに猥雑なことか。高松からたった20分のところ。大島はやはり、閉ざされている世界なのかもしれない。

帰りに釜たまうどんを食す

帰りに釜たまうどんを食す