Nobuyuki Takahashi’s blog

2009年 3月 5日のアーカイブ

サラブレッド

2009年 3月 5日

小牧市民病院小児科病棟でのインスタレーション

小牧市民病院小児科病棟でのインスタレーション

3月4日朝から慌ただしい。いくつかの確認事項をこなしながら、電話は5本もかかってくる。事務長との打ち合わせなどなど。11:00すぎにお弁当を食べていると、森をつくるおりがみMorigami(もりがみ)をデザインし、現在シンポジウムの冊子を編集・デザインしてくれているゆきこさんがプロジェクトルームに来訪。印刷会社との打ち合わせの間もひっきりなしに電話。昼食を終えた頃、小牧市民病院からスタッフ泉が聞き取りアンケートから学生とともに帰ってくる。私は食事後すぐに小牧市民病院の作品を仕上げるためのパーツを作る。学内は卒業制作展が終わり、学生や教員の姿を見かけない。ひっそりと静まり返ったキャンパスに唯一やさしい美術プロジェクトの活動拠点、プロジェクトルームだけが学生、業者、教員が出入りしてにぎやかだ。
14:00なんとか仕上げた小牧市民病院に搬入する作品を積み込み出発する。
14:30小牧市民病院に到着。すぐに作品を4階小児科病棟に運び込み、設置作業にとりかかる。
19:00いくつか修正点を残しながらもなんとか小児科病棟モビール作品が完成する。
3月2日と4日の二日間をかけて搬入作業を行なったが、その間にいくつも印象に残ったことがある。それはやさしい美術のような活動に実際に足を踏み入れてこそ感得する、説明しがたい充実感に通ずることだ。
小児科病棟とはいえ、常時すべての病室が子どもたちでいっぱいになるわけではない。大人、お年寄りがいる病室もある。ある人は寝たきりの旦那さんの手をにぎっている、泣き叫ぶ子どもを抱きしめるお母さん、点滴を嫌がる子をやさしくたしなめているお父さん…。作業をしていると、そこかしこから声が立ち上ってくる。脚立にのぼり、それらの声に耳を傾け、作品を設置するーまさにその行為が祈りであるかのような、崇高な感覚が粛々と高められて行く。やさしい美術プロジェクトで展示する作品は現場で時間をかけて設置する場合が多い。プロジェクトメンバーがその設置作業中に感動で内震え涙する場面に私は幾度となく立ち会ってきた。病院の日常の中でこっそりと設置作業をしている私たちは患者さんや病院職員さんたちにとって空気のような存在だ。それでも、私たちにとっては、病院の日常が鮮明に感じられる現場に立ち、自分が確かにそこに居る、という実感が全身に降りてくるのだ。
設置作業後に皆でみそラーメンを食べに行く。作品のパーツ制作を手伝ってくれたみんな、設置を手伝ってくれたみんな、ありがとう、おつかれさま!
21:00急遽面接をしなければならず、大学に戻る。23:30帰宅。
話は変わるが、今日の設置作業の休憩中に盛り上がった話題。やさしい美術プロジェクトのメンバーやサポートをしてくれている人々にはある共通点があることが判明したのだ。それはメンバーの親族や親戚に医療福祉や介護福祉に深く関わる人がいるということ。話を聞くとこれはかなりの確率のようで、信憑性は高い。かも。